第9話

家庭教師は大学卒業まで、続けたがそれきり、身体の関係はなかった。




その後は5年以上も音沙汰なかったのに。




ただ3年程前、一也の家族の問題(彼の従兄のソウとユキが原因だった)で、個人的に依頼を請け負って1年前後。




もう一度だけ、いや2.3度、いや依頼が完全に完了するまで、回数は片手じゃ足らないが両手に収まる程度かな。




身体の関係を持った後は、また今日の今日まで会う事もなかったのに。



「ねえ、麗。ずっと、好きだった。 ソウとユキが、今後二度と俺に迷惑かけないって言うからさ。 次、麗を頼りにするのは何年後になるか分からない。俺、次はおじさんになってるかも知れない」


「一也。私、あんたより5つも年上なんだけど」


「麗はいくつになっても、きっと綺麗だよ」


「じゃぁ、おばあさんになるまで待てる?」


「良いよ。でも、麗がおばあちゃんになるのを待って、 『On se marie(オンスマリ)』でプロポーズするから。だから、恋人になって、俺と家庭を築こう?」



フランス語……。


結婚の順序を気にしない人の多い国ならではの、プロポーズ。


一緒に暮らして子供が出来てから、子供が大きくなってから、結婚する国の事実婚夫婦が使う事が多い表現だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る