第3話

「お茶なんて生温い事言うなよ~」


「生温いのは、あんたの性根よ。 最近、特定の子、連れ回してるって聞いたよ? 」



カズヤは眉根を細める。


カズヤにとってそれは面白くない話なのだろうか?



「誰から聞いたの?」


「教えな~い」


カズヤは軽くため息をついた。



「やっと、身を固める気になったと思ったのにね。 あっでもさ、ソウと取り合ってるって聞いて、背筋が凍った。 殺○れ無い程度にガンバレ……」



ここは湯布院駅にほど近い、立地の良いビルのバーで、私の同級生の雅也が経営する店だ。


その雅也が、先日、カズヤが女の子を連れて来て、酒を飲ませて酔わせていたとリークしてくれたのだ。


それも途中で、彼の兄従兄のソウが店に飛び込んできて、カズヤが連れて来た女の子を連れだしたって、どんな三角関係だろうと思ってた。



「それ、どうせ雅也が話したんだろ。客の個人情報、べらべらしゃべるなよ」



カズヤの愚痴に店のオーナーである雅也が、綺麗に微笑って言った。



「他の客の色恋は、口が裂けても話さないさ。ただ、今回はあまりに面白過ぎて。つい、ごめんな。訴えるなよ」



何て余裕の冗談の雅也は、この街で見た目がゴリラみたいに大柄なソウの次にキレたら怖い奴。


面倒見良くて、普段は優しいので、出来るなら怒らせたくないよね?


空気が読めるカズヤはそれを心得ているはずだ。


よく、様子を見てみると、カズヤがこの話を、実はちょっと嬉しそうに話している事に気が付いた。

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