第15話 始まりは
香子が「野乃、そろそろ仕事じゃないの?」と声を掛けた。
野乃が「うーん?香子お姉ちゃん、もう少し休ませて」と寝ぼけて目を擦っていた。
香子が「全く、どうしようもない子ね?」と野乃の身体を揺さぶった。
野乃が「うん、分かったよ。起きるよ」と身体を起こした。
そこには香子の夫、道成が居て「起きたのなら、さっさとご飯を食べろよ。俺もそろそろ仕事に行くし」と玄関で黒い靴を履いていた。
香子が「行ってらっしゃい。あなた」と道成の頬にキスをした。
道成が「ありがとうな。行って来るよ」と玄関のドアを開けて家を出て行った。
野乃が「道成さん、もう仕事へ行ったんだ」と玄関の方へと視線を移した。
香子が「そうみたいね。でも、いつもの習慣になって居る行ってらっしゃいのキスは忘れないみたいで嬉しいわ」と少し大きなお腹の香子は掛け声を掛けながら椅子に座った。
野乃が「夫婦になると大変そうだね?」と香子を見て野乃は想った。
野乃が「そろそろ、仕事に行かないと遅刻しちゃう」と腕時計を見て忙しそうにしていた。
香子は水道で「うっうっ」と妊娠の吐き気に襲われていた。
野乃が「大丈夫?もし大変だったら、夕飯の支度を手伝うよ」と香子を優しく気遣っていた。
香子が「大丈夫。少し寝て居れば落ち着くから」と野乃に伝えて、ゆっくりと壁伝いに手を置いて歩いて行った。
野乃は「行って来ます。身体辛かったら、産婦人科に行きなよ」と言い残し、玄関から会社へと向かって行った。
仕事場では野乃は「これ、野乃さんやって貰いたいんですが、良いですか?」と同僚や部下から頼まれて、野乃は「はい、やっておきますね」と話をして事務作業をこなしていた。
突然、香子から「申し訳ないけど、今、お腹が痛くて道成さんにも電話はしたんだけど、出てくれなくて、それで野乃にしか頼る人が居なくてさ」と電話があった。
野乃が「じゃ、今から私、仕事を切り上げて行くよ」と香子に電話で伝えて電話を切った。
野乃は、タクシーで産婦人科に向かって行った。
野乃が付く頃には、産婦人科で香子はお腹から赤ちゃんが生まれてオギャオギャと泣いていた。
そこには道成が居て「あぁ、此処で待って居たら丁度、赤ちゃんが泣いて来たのですぐ産まれてね。野乃、来てくれてありがとうな」と野乃に声を掛けた。
野乃が「そうか?良かった」と安心した様子で分娩室で、香子の子供タツマが居た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます