第4話   香子

野乃が「お姉ちゃん。これから私出掛けちゃうよ」と香子に声を掛けた。

香子は「ごほごほ。あれ?声があまり出ない。熱が38.4℃あるね」と驚いていた。

野乃が「しょうがないよ。帰り私が何か買って来るよ」と香子に優しく話し掛けた。

香子が「ありがとう。こほこほ」と咳をしながらも、身体中が暑くて動けない香子は、道成から携帯に電話が有ったが出る事も出来なかった。

香子が携帯を開くと「道成」と言う名前が携帯の待ち受けに映って消えた。

次の瞬間に「ピンポン」と家の玄関のチャイムが鳴った。

香子が「痛い。野乃?居ないの?」と家の周りを見渡しても、誰も居なかった。

道成が「おい、家に入っていいか?」とぶっきらぼうな言い方をして玄関を開けて部屋に入って来た。

香子が「ごめんね。まだ熱が有るの。適当にゆっくりしていて」と麦茶のポットをテーブルに置いた。

香子が「これ、コップ。良かったら、使ってね」と台所のテーブルに置いた瞬間、その場に倒れこんだ。

道成が一緒になって倒れてしまい、道成が「香子、香子」と香子の身体を揺さぶったが起きる気配はなく、ベッドに運んだ。

香子が「あれ?私、どうしてベッドに居るの?」と驚いて居ると、道成が「お、起きたか?あまり無理するなよ」と香子の身体を労わった。

香子が「あぁ、私ったら、冷蔵庫に麦茶を入れられなかった」とガッカリして居ると、道成が「大丈夫だ。お茶ぐらい俺だって入れられる」とコップを持って麦茶を飲んでいた。

野乃が「ただいま。お姉ちゃん、体調大丈夫?」と心配していた。

香子が「ありがとう。私が熱出さなければ、今頃夕飯の支度が出来たのに」と冷えピタをおでこに付けて、ベッドから身体を起こした。

香子が「体温計どこだっけ?」と声を掛けると、野乃が「あぁ、確かこっちに有るよ」と手に持って香子に体温計を渡した。

野乃が「熱何度だった?」と香子に尋ねると、香子が「37.2℃。少し熱が下がったかな」と野乃に伝えた。

野乃が「あー、それなら良かった。ご飯食べられそう?」と香子に尋ねると、香子が「ちょっとお粥とみそ汁、食べたいかな」と野乃に頼んだ。

コンロに鍋を置いて、お粥パックを茹でた。

野乃が「お姉ちゃんが元気になって来てよかった。明日にはきっと元気になれるね」と笑顔で、香子に話し掛けた。

香子が「ありがとう。私もこれで元気になれると思うと凄く嬉しいよ」と背伸びをした。

野乃が「お姉ちゃんが元気じゃないと、私も元気になれないからさ」と香子の事を抱きしめた。

香子が「うふふ、困った時は頼りになる妹が居るから、私も頑張れるよ」と嬉しそうな顔をして居た。

道成が「じゃ、俺はこれにて帰ります」と野乃に伝えて、玄関から帰って行った。

野乃が「お姉ちゃん、もうそろそろ元気になるから明日も宜しく」と道成に声を掛けた。

道成が「いや、良かったよ。倒れたあの後、どうなる事かと思ったけど、やっぱり身体が怠(だる)かったんだな」と香子の事を心配していた。

野乃が「じゃ、またね」と道成を玄関から見送った。

道成が「じゃ、またな」と野乃に手を振っていた。

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