第2話

奈央は高校卒業後、大手建設会社の地方支社に就職した。


高卒だから一般事務だが、実家からバスで10分ほどの距離だ。

便利だし、安定してるし、このまま地元で平凡に暮らすと思っていた。


就職5年目。

地元に大型リゾート開発の仕事が入り、東京本社から出張者が数人来た。

その中の陽介と、遠距離恋愛が始まった。


プロポーズを受けたときは死ぬほど嬉しかったが、

友人、知人が一人もいない東京に住むのは不安だった。

でも陽介は「守る」と言ってくれた。


それを信じて結婚したら、思わぬことが奈央を苦しめた。


陽介の親族は全員が高学歴のエリートだった。


祖父は国立大学の名誉教授で、父はキャリア官僚。

兄は国際弁護士で、その妻は産婦人科医師。

母方の親族には、裁判官や外交官がいる。


だが一番厄介なのは、58歳の母と、26歳の妹。

姑の清美と、小姑の涼花だった。

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