君の目に映るもの

影山 みはつ

第1話 美南

美南は高校三年生。年齢は十八歳。酸っぱいものが大嫌い、好きな物は甘いもの。利久人は、いつも声を掛けるが少しクールな顔をしていた。利久人から「はよ、元気ねーな。」と声を掛けられて美南が「今眠いのよ、ほっといてよ。」と欠伸をしながら教室を掛けこんでいく。  やる気のない美南に将来の夢を書いてくるようにプリントを前に配られて、先生から呼び出されたが書く気はさらさらない。

友達から「利久人、帰ろうぜ。」と声を掛けられて利久人が「おー、今用事が出来て、忙しいから先帰ってくれ。」と返事を返した。利久人がジッと後ろから覗いて見ていた。利久人が「お前、将来の夢を書いているのか?」と声を掛けた。 美南(みなみ)が「あ~、これね、先生に頼まれたから少し考えていたのよ。」と返事を返した。

利久人が「ふーん、そんなに考えることか?」、「俺なんか何も書いてないぞ。」と答えた。 美南が「ちょっと、考えてよ」と利久人が帰ろうとして居るのを見て引き留めた。 利久人が「げっ。」と言って忍び足で教室を後にしようとして扉の前で止まった。 

美南が呆れた顔をして「じゃ、一緒に帰ろう。」と一緒に下校するように誘った。利久人が「あ、俺の知り合いがやっている団子屋があって今から行くけど、一緒に行かないか?」と声を掛けた。美南が「じゃ、行こう。」と言って、美南は、利久人の手を握り返った。団子屋と煎餅の専門店の塗(ぬり)煎餅(せんべい)という名前のお店に止まり、「おっちゃん、来たぞ。」と大きな声で自動ドアから出て来た利久人に店主が「おー、利久人、見る間もなく大きくなったなぁ」と声を掛けて美南が「お邪魔しています。」と声を掛けた。 店主が「おい、利久人、お前も彼女出来たのか?」と声を掛けて来たので、利久人は照れ臭そうに「そんな事ねーよ、今日のお勧めは?」と店主を少し睨んで話を続けた。店主が「そうだな、団子と煎餅か?」と笑って話を返した。利久人が「じゃ、俺、濡れせんべいにするわ。」と指を刺した。美南を横目に見て「お前どうする?」と利久人が声を掛けた。

美南が「うーん、みたらし団子と醤油煎餅にしようかな?」と声を掛けた。

店主が「へい、お待ち。」と言って、席に座る利久人と美南の前にお盆に載せた煎餅と餅と濡れ煎餅を持って来てくれた。  利久人が「写真撮るかな」と一人呟いて制服のポケットから携帯を出して写真を撮っていた。 利久人が「さぁ、食べるか、頂きます。」と言うと美南が「そんなに慌てて食べたら制服に垂れるよ。」と注意をして言ったのに利久人の制服を見ると濡れ煎餅の欠片がボロボロ落ちていた。美南が「全く、しょうがないな」と言って、布巾(ふきん)で制服を拭いた。利久人と美南は、塗煎餅と言うお店を後にして、橋の方からから夕陽を二人で眺めていた。



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