第5話

"石を詰めー"



「めっちゃカッコいい!!」




キラキラ笑顔で言う女の子。



おおおお、それはマジでカッコいいんだ




"石を詰めー"



「「うるさいっ!!!!」」



"……"





なんで石!?


今、大事な話をしてるでしょーがっ。


てか




「それは死ねんわ」




イケメン未来の旦那様を見るまでは絶対に死ねんわ。




「しかもっ」



「しかも!?」



「うぇへへっ。内緒っ」



「えぇーっ」



「でもこれだけは言えるよっ」



「ん?」



「パパはねっ。ママとあたしが好きで好きで仕方がないのっ」



「えーっ。テレるやんっ」



「そしてねっ」



「そしてー?」



「なんでもないっ」



「えぇーっ」




そこまで言っといてっ。



まぁ、死ねないことだけはわかったけど……


どうやって元の世界に戻れば?




「ママ」




女の子があたしのオデコにオデコをくっつける。



その瞬間、込み上げてきたのは愛しい気持ち。



今は同い年くらいだけど、この子は確かにあたしの娘だー。



触れあってわかる。




「耳を澄ませて。呼んでくれてるからーーが」



「……え?」




誰が?




「負けないでよ、ママ。絶対にあたしを産んでね!!」



「うん。きっと」




アナタともっと一緒に居たいからー。




「「またね」」




自然と涙が零れた。


半身がもがれたような寂しさで。



でも




「大好きだよ、ママ!!」




その言葉にあたしは笑った。



またそう言ってもらえる日まで、頑張って生きないとねー。




そうして、呼ばれる声に導かれるように瞳を閉じた。














"石をーー"



生き返るから無理です!!

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