第24話:デコルテの爪で掻く痣忘れ草

デコルテの爪で掻く痣忘れ草

でこるてのつめでかくあざわすれぐさ



 一人での暮らし。束縛されるものはないのに、どこか息苦しい生活。


 鏡に映る顔色は悪くないし、生気を感じる。一つ気付いたのは、首筋にあった薄い痣。

 今までは気にしていなかったが、少しだけ大きくなっている。以前は、小指の爪よりも小さかったはず。それが、今では明らかに大きくなっている。


 誰かに触れられているような、そこから何かが体の中に入り込むような不気味な感触。それを掻き出したくで、思わず爪を立ててしまう。

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