第16話:虫籠の紐はぐにゃりと夜を待つ
虫籠の紐はぐにゃりと夜を待つ
むしかごのひもはぐにゃりとよるをまつ
知識や経験がなければ、自らの存在意義を見つけるのは難しい。餌を与えられ、出番が来るのを待つ、虫籠の中の虫。
与えられた役目は、夜に綺麗な声で鳴くこと。いや、鳴くだけの存在。
でも誰も虫を見ながら、食事なんてしたくない。臭いだって気になる。だから、ずっと暗い場所へと隔離され、吊るす為の紐はぐにゃりとしたまま。
安全でストレスも無いっていう、都合の良い理由を信じたフリもする。
ただただ暗い場所で、暗くなるのをじっと待つ。嫌いだった朝焼けが、妙に懐かしい。
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