第36話 ネカフェへ

「ドS」

 結局、言えたのはそれだけ。


 あたしは『ドM』だよって言ってるのと変わらない言葉。

 でもね、あたしにとっては大切な言葉なんだよ。


 江洲がドSで、あたしがマゾって。

 今の関係を構築するうえで、絶対に必要な要素だからね。

 恥ずかしいけど、実際にそうだから……。


 電車の中であたしは一体、何度イかされたんだろう……。

 回数を言うのが恥ずかしいくらいに、蕩けさせられて。


 家まで送ってくれたけど、その間の道でも何回もイかされて。

 家に着いて自分の部屋に入るなり、ベッドで倒れ込むように寝ちゃった。


 目覚めたら、シーツはあたしのエッチな蜜でベットリで……。

 一気に脳が覚醒した。

 そりゃそうだよね。


 スカートめくれあがったままだったし。

 スカートに付くよりかはマシだとは思うけど、さすがにこれは……ってなって、恥ずかしいのなんのって。

 イヤでも江洲との事を思い出しちゃって、ほら、また濡れてくるし。


 ううっ……。

 一体、どうすればって感じ。


 早く、あたし専用の充電器に充電させられたい……。

 懲りずにこんな事を思ってる時点で、もう堕ちてるって言うの?これ。


 枕をギュウって抱き締めてから、ぼふんって顔を枕に埋めて、脚をバタバタと動かして。

 時間を見れば、まだ早朝。

 我満できるのかな……これ。


 我満できないから、ダメ元で江洲に

【起きてる?】

 スタンプをポチっと。

 そしたら、なんと!

 まだ起きてた。


 寝起きかも知んないけど、どっちでもいい。

 だって……。

【充電?】なんて言葉が書いてあるんだもん。


 さすがあたしの専用充電器だね。

 分かってるって感じ。

 でも、そこで素直に『うん』って言わないのがあたし。


【充電したいかなぁ?って思って】

『充電して!』満載の言葉を素直じゃない言葉で返すけど、江洲もそこは分かってるよね。


【もちろん】

 って、速攻でレスがくるし。


 あたしの家の最寄り駅にある防音のカップルルームがあるネカフェを指定して、

そこに来るように指示したら、やっぱり……ほらね。


【わかった。すぐ行く】

 って。

 嬉しい。

 ニヤニヤしちゃう。


 メイド服と下着をカバンの中に入れて、軽くシャワーを済ませて、デート前のように髪の毛もメイクもバッチリと決めて。

 そして、制服姿で家を出る。

 もちろん、下着は着けないままで。


 早朝だし、誰にも視られないだろうし、バレないだろうしね。

 一応、江洲と逢うからって理由もあるけど、ちょっとクセになったのもあるし、何よりも、下着を汚したくないから。


 我慢できない状態だから、江洲とこれから逢う約束をしたんだし……。

 あたしのソコがどうなっているかはお察し。


 コソコソっと家を出て、短すぎるスカートを手で押さえて、小さい歩幅で人けのない道を歩く途中に何度も

「んっ……はぁっ……」

 甘い息を零して。


 少しの風でも、今では凄く敏感になって、感度があがっていくのは、このハラハラドキドキ感のせいなんだけど、それを江洲に教えられた感じが余計にあたしを興奮させる。

 今からその男子と逢うんだもん。


 目的のネカフェが見えてくると、なんと江洲が制服姿で立っていて、あたしの方を微笑みながら見てる。


 何で江洲の方が早いの?

 とか思うけど、そんなの関係なく、江洲が居ることが嬉しくて。


 早く江洲の側に駆け寄りたい。

 だけど、やっぱり恥ずかしいんだよ――。

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