第33話 電車の中

 電車の中で椅子に座らずに立ったまま腕を組んでいたのは、あたしの身体を江洲の身体で隠してくれてるだけじゃなくて。

 こんな会話を隣の人とかに聞かれないための配慮だって分かると、実は優しいって事も分かるんだよね。


 もちろんクタクタでトロトロのあたしは、座りたかったけどさ。

 こうしてお喋りをしていると、何故、江洲が立ったままなのかが

 痛いほどに分かるし、あたしも江洲となら、こういう会話をしたい訳で……。


 隣の人に聞かれたくないよね。

 それに……多分だけど、会話だけじゃなくて……

 そっとスカートの中に手を?

 忍び込ませてきて?なのか、忍び込ませてくるんでしょ?

 なのか分かんないけど、モゾモゾと内腿を擦り合わせていた太腿を、そっと肩幅まで広げてしまう、エッチなあたし。


今、触れられたらダメって分かってるのにね。


でもさ、すっごい濡らしているってバレてるだもん。

何もしてくれないの?

 って、思っちゃうのは仕方がないよね。

 あくまで『江洲だから』って、強調しておくけどさ。


『学校で』って言われたばかりで、誘うように脚を拡げて、乳首を固くして尖らせて、上目遣いで江洲の顔を見ちゃうあたし。

 えっちな女の子からエッチすぎる女の子になってる。


「はぁっ……」

 って、甘い息を吐き出して、お尻ぺんぺんされたいなぁって思ったのが

自然と仕草に出ちゃった感じで、軽くお尻を突き出してしまう。

 お尻をつねられたばかりだし、『今度はぺんぺんもしてくれる?』って。

 でも、ホントに無意識だから。

 無意識にやってるから恥ずかしさも増すんだけど……。


「真鈴がいいなら……だけど、お尻をここでぺんぺんしたら真鈴さ……」

 そう言われて、顔から火を噴き出す。


 無意識にお尻をぺんぺんしている格好になっている事と、それをされたがってるってバレちゃってる事に。

 されたら、あたしがどうなるかもバレてる事も……。


 しかも、おねだりしてる事が余計に恥ずかしい。


「あっ、やぁんっ……もうっ……ち、ちがうのぉ」

 全然、ちがくないけど。

 身体も固まったように、姿勢も変えてないけど。


「あ。違うんだ?……ごめん」

 もうっ……すっごい意地悪。

 でも、どうしよう。

 なんて言えばいいの?

 して欲しいって素直に。

 無理ーっ!


「んっ……もうっ、出夢のへんたい……」

 自分で発した言葉が、自分の引き金を引いちゃった。

 開いた脚の中央から、糸を引いた蜜が床に向かって、ツーっと垂れて。


 恥ずかしい、恥ずかしすぎる。

 おかしくなる。

『へんたい』なのはあたしだって、意識して、被虐性が刺激されて。


 脚を閉じて蜜が垂れ落ちた場所をローファーで踏んで隠して。

「あの……えと……んぅっ……降りたら……して?」

 言っちゃってるし。


 ホントは『視た?』『視えた?』とかも尋ねたかったんだけど、早くされたいが先走っちゃって。


「枝務さんの容量は凄い空きがあるね」

 ここで、呼び方を『枝務さん』に変えてくるんだから、ずるい。

 すっごく恥ずかしい時に、『あの枝務さんが?』的に言われると……。


 太腿を擦り合わせる動きが忙しなくなって、クチュって音が響いて。

 もう、無理。

 俯いて、顔を隠して。


 でも、そうだよね。

 あれだけされて、また足りないって、あたしの欲求は底なし沼のように感じる。

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