第5話 これは…いい匂いすぎる

 いい匂いのものって、いろいろあると思う。

ご飯の匂いだって、煮物を煮る匂い、夕飯時のどこかの家庭から漂うカレーの匂い。

炒め物の匂い…ガーリック系の匂い…

洗濯物の匂い、香水の匂い、太陽の匂い、赤ちゃんの匂い、猫ちゃんの匂い、ワンちゃんの匂い。

いや、上げ出したらキリがないけど。

他にもいろいろあると思う。

自分の好みの匂い。

 その中でも、私が好きな匂いで、前々章にも書いた事と関係あるもの。

それは紙の本の、印刷の匂いなんです。

とにかく、新刷本のインクの匂いがたまらない。

買った本は、とにかく嗅ぐ!

ページをパラパラしながら嗅ぐ!

読みながら、嗅ぐ!

 本だけではないです。新聞も朝来たら、嗅ぐ!

挟まっているチラシも嗅ぐ!

もうね、印刷物の匂いが好きすぎて。

しかし、段々、匂いがしなくなってくるの…

なんでだろー?

 だが、古い本は古い本なりの独特な香りがあり、それも嫌いじゃないんだよなー。

まあ、人間でも動物でも、長く生きていると匂いが変わってくるもんだから、時間を過ごして来たものの、重みが出るんだ、と思うことにしている。

 そして今日もまた、本屋さんに出かけて、思う存分印刷物に囲まれて、お気に入りの本を選び、買って来るのでした。

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