魔法協会の隠し子

みゃんびゃん麺

第1話 契り

どれだけ勇者を殺せば良いのか。


俺は血に塗れた手を薄れゆく視界越しに遠ざけたい感情が混ざりながらただ、眺めている。


目の前で痙攣しているその男は俺に意気揚々と挑んできた。だが俺には敵わない。


俺はなぜ彼を殺さなければいけないのか。


"魔王"という肩書きがあるためか?

それとも"この呪い"のせいか?


父は初代勇者に殺される直前に呪いを俺にかけた。勇者の血を滅ぼすという呪いを。


それから俺は勇者を殺すように頭の中から命令されているかのように、まるで孫悟空が頭を締め付けられているかのように目的を達成するための人生となった。


ただ人を殺す魔法を覚え、ただこの椅子に座り、ただ明日を迎える。


空虚だ。死にたくても死ねない。


この呪いは自分でも解けない。いくら魔法を取得したとて、あの父の、強大な魔力を持った者が死に際に放つ呪いは、初代勇者以上の力がなければ解けないし、俺は殺せないだろう。


俺は何千年も"勇者"を待った。だが来るのは国の期待を抱えた、ただの人間であった。


そんな選ばれし者しか手に入れられない剣はそこまで弱いのか?

全てを防ぐ盾は、俺の灼熱の息に耐えられないのか?


彼らが俺よりも超えているのは唯一殺意だけだった。


気がおかしくなりそうだ。理性を失えば俺はただの、いや生き物と言えるのだろうか?


歩く呪いではないのだろうか。


俺は


俺は


俺はどうしたら-------------

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