第25話

実は今日一日、講義中もずっとうたくんのことを考えていた。



告白されたからというのももちろんあるけれど、朝感じた胸の高鳴りや昨日のうたくんの腕の中を思い出すと、どうにも落ち着かなかった。



これを恋愛感情と呼ぶには少し早い気もしたが、莉子の言葉を聞いて、周りにチヤホヤされるうたくんを想像しちょっといやだな、と思った私はもうきっと落ちているんだろう。



いや、自覚するのが遅かっただけで、何度も会って出掛けているうちにいつの間にか好きになっていたのかもしれない。恋愛がご無沙汰すぎて自分の気持ちに気付かなかった。



せっかくうたくんが告白してくれたんだから、普通、好きなら今すぐにでも私も好きです、と伝えに行くだろう。高校生の時の私なら確実にそうしてた。



でも私は恋愛が久しぶりなせいか、少し大人になったせいか、好きイコール付き合う、というのがいまいちピンとこなかった。



それにうたくんにも好きとは言われたけど付き合う云々のことは言われていない。



とりあえずうたくんの出方をみてみよう、そう結論が出たところでピロン、とスマホが鳴った。



ディスプレイには


詩汰

新着メッセージ一件


と表示されていた。

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