第48話 不老不死の影—勝元とトカレフの物語**
文明15年(1483年)6月、建物がある程度完成した東山山荘に移り住み、以降は義政は「東山殿」、義尚を「室町殿」と呼ぶこととなった。また、文明17年(1485年)3月には将軍の象徴とされていた大鎧「御小袖」を安置するための空間(御小袖間)が義尚の御所である小川殿に造営されている。だが、実際には義尚は多くの分野で義政の承認が無ければ裁許を行うことが出来なかった。
その頃、義尚が畠山義就支援に転換しようとすると、義政はこれに猛反発して朝廷に義就治罰の綸旨を出させている。文明16年(1484年)年9月には義政自らが義就親征を検討するが、義尚の説得もあって文明18年(1486年)3月には義政も赦免に同意することになり、7月29日に行われる義尚の右近衛大将就任の拝賀の儀を理由に赦免されることになった。ただし、この義就赦免に反発した管領畠山政長は7月に管領を辞任してしまい、後任となった細川政元も拝賀が終わるとその日のうちに辞任してしまう(在任期間9日間)。政元はその後も幕府の重要儀式があるときにはその時のみ管領に在職したが、「管領の常設」という意味ではこれが終焉となる。またこの直前には侍所所司京極経秀の家中で内紛が発生し、6月18日に所司代を務める重臣多賀高忠が自害に追い込まれる。所司・所司代の後任は任命されることなく、以降の侍所は幕府奉行人である開闔が侍所の実質的な長となる。文明18年(1486年)に管領と侍所所司が事実上機能を停止したことは、室町幕府の職制における大きな転換点を意味していた。
文明18年(1486年)、東山山荘では細川勝元が蝉の声を聞きながら、密かに思索を巡らせていた。彼の周囲には、家族や忠臣たちが集っていた。しかし、義政の威光が薄まり、義尚の権限が強化されつつある中で、勝元は動かねばならぬことを感じていた。最近の畠山義就の赦免や、政元の短命な管領就任など、室町幕府の内部に渦巻く不安定さに彼は心を痛めていた。
ある深夜、勝元は自室でトカレフの拳銃を手に取った。未来を切り拓く力を求め、彼は「不老不死」の伝説に耳を傾けていた。彼の祖先がこの世に存在する限り、彼もまた不老不死を手に入れ続けるべきとの想いが募っていた。
勝元の家族が夜の通夜を行っている最中、突如として山名宗全が参上した。彼は勝元に向かって囁いた。「お前はこの樹海を知っているか?そこには、かつて不老不死とされる者たちが隠れているという…。私はお前を島流しにする計画を聞いた」
勝元は驚愕しながらも冷静を保って答えた。「私が流されることなど、画策する者たちが不幸になるだけだ。私には英雄としての使命がある。ここを守り、平穏を取り戻さねばならぬ。」
宗全は眉をひそめつつも、勝元の決意には感服した。「だが、そのためには周囲の者に隠れなければならぬ。遮蔽物を用い、策略を巡らせるのだ。」
勝元は次第に彼の周囲に潜む敵の影を察知しながら、宗全との共闘を決意する。彼は信頼のおける者たちを集め、夜の樹海へ向かうことを決めた。
「我々が進む先には危険が待ち受けているだろう。しかし、真の不老不死には意志の力が必要だ。我々は運命を変えるためにここに集った。」
勝元の声が響く中、兵たちは彼に従った。樹海の奥深くに進むにつれ、彼らは様々な罠や魔物と遭遇するが、勝元の決意は揺るがなかった。
樹海の中心部に到達した勝元たちの前に、不老不死の力を手にした者が立ちふさがった。それは彼らがかつて知っていた者だった。彼は、勝元の先祖でありながら、邪悪な力に取り込まれた男だった。
「勝元よ、貴様の意志などこの世に存在しない。私は永遠の命を得た。そして、貴様を島流しにすることができる!」
勝元は恐れずにその者へ進み出た。「私には不老不死など必要ない。私の命は、家族や民のためにあるのだ。邪悪を打倒するために、私は信念を貫く!」
勝元の気迫がその者を打ち破り、彼は樹海の奥深くに vanished した。しかし、勝元はその瞬間、彼自身も無限に近い時間の流れの中に放り込まれてしまった。彼は一瞬、無数の時を生きる者となったが、心の中には確固たる意志と道があった。
勝元は気づいた。「人は不老不死を求めるが、真の生は人との繋がりの中にある。」彼の声は時を超え、彼の家族や仲間たちの耳に届いた。
外の世界では、勝元の帰りを待つ者たちが執り成す新たな時代の幕が開いていた。彼の名は、歴史の中に新たな伝説として生き続けることになった。
文明の喧騒が静まったころ、勝元は樹海から帰還し、過去の影と未来への希望を受け入れ、東山山荘で新たな時代を築くための準備を始めた。そして、彼の意志は次世代の者たちに受け継がれてゆくこととなるのだった。
文明18年(1486年)、細川勝元は六道の辻に立ち尽くしていた。ここは人々の運命が交差する場所、時折、過去と未来が一瞬融合する奇妙な空間だった。彼の心には、樹海での出来事が鮮明に焼きついていた。生と死、希望と絶望、そして不老不死の真実。彼はそのすべてを背負い、次の一歩を踏み出そうとしていた。
「ここが六道の辻か…」と、勝元は呟いた。周囲には道を迷う者たちが立ち尽くし、互いに目を合わせることなく、どこへ行くべきかを探っている。勝元は彼らの様子を見つめつつ、自分の選択がどのように影響するのか考えた。
その時、道の向こうから一人の錫杖を持った老僧がやって来た。彼の顔には深い皺が刻まれ、瞳は広大な知識を宿しているようだった。
「勝元よ、ここでは選択がすべてだ。お前の意志が、道を定めるのだ。」老僧は言った。
勝元は驚きながらも、老僧の言葉に耳を傾けた。「私の意志…それは何を意味するのだろう?」
「この辻での選択には、過去の行いと未来の行動が影響を与える。今、何を選ぶかで、貴様の運命は大きく変わる。」
勝元は老僧の言葉に導かれ、自分が立つべき道を考えた。彼は過去の戦いと、家族への思いが結びついていることを感じていた。
勝元の前に、異なる三つの道が現れた。一つは、彼の過去を辿る道、もう一つは理想の未来へと続く道、そして最後の道は、他者との関わりを深めるための道だった。それぞれの道は、彼にとって異なる意味を持っていた。
「どの道に進むべきか…」と、勝元は自問自答した。「過去を振り返ることは、未来を断たせることになるのか?それとも、理想を追い求めることで、今の自分を失ってしまうのか?」
彼の心は揺れ動いた。だが、ふと彼の胸の奥にある思いが囁いた。「私が進むべきは、他者との絆を深める道だ。自分だけの力ではなく、共に歩む者たちとともに未来を創造することが大切だ。」
勝元は、他者との絆を深める道を選んだ。その瞬間、周囲の風景が変わり、彼の目の前に仲間たちの姿が現れた。彼らは彼の選択を見守り、彼と共に未来を切り拓く仲間だ。
「私が選んだ道に、一緒に進んでくれるか?」勝元は仲間たちに問いかけた。
仲間たちは頷き、共に手を取り合った。「私たちも共に行く!未来を明るくするために、一緒に戦おう!」
勝元は仲間たちと共に、六道の辻を後にした。彼の心には確かな意志が宿り、仲間たちとの結びつきが彼を力づけた。過去の教訓を胸に、未来へと向かって進む。
彼らの旅は始まった。六道の辻を越えた先には、新たな冒険と運命が待ち受けている。勝元は不老不死の影を振り払い、真の生を求めるために進むのだった。
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