2−13 1番の幸せ

「三花…まさか…」

僕は目を疑った。

そこにいるのは,確かに三花だ。けど,僕より上の年齢に見える。

前よりスッとなった目。顔つきも手足も大人っぽくなっている。

「三花…大人になった?」

三花自身も驚いたようにつぶやく。

僕は三花の手をそっとにぎった。

ちょっと前までは体温のなかった三花の手が,あったかい。

「三花!」

三花のお母さんが,三花に抱きついた…

三花も困惑しながら,けど,お母さんに抱きついた…

「三花!心配したわよ!会えてよかった」

お母さんの目には涙が浮かんでる…三花の目にもだ。

「2人とも,きっとお母さんを思う三花の気持ち。三花を思う,お母さんの気持ちが重なって,ラッキーが起きたんだよ。これが,本物のミラクルだ」

「本物の…」

「ミラクル…」

僕は,人間に戻った三花に目をやった…

すると,ちょうど三花もコッチを見ていて。

「ヒカリ。ありがとう。それから,ごめんなさい。なんか悪いこといっぱい言った気がする」

最後にニコッと笑った三花は,本当に優しい子に見えた。

「さっ!お父さんに報告したら心配かけた人にご挨拶に行きましょ」

「はーい!」

三花はこっちに手を振ってお母さんたちと歩いて行った。

「ボクたちもいこっか」

「うん」

やっぱり,ラッキーを届けるのは本当に幸せだ。

僕たちは笑顔で別れて,また新しい希望ラッキーを届けに歩いていった。

「ヒカリ。次は…森ね。なんかイヤな予感する…早く行こ」

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