1−7 近寄る闇

「うふふふ。黄花。ずいぶんいいパートナーさんね」

茂みから出てきた彼女は黄花に向かって笑ってそう告げた。

茂みから出てきた女の人は,黄花の頭ひとつ分くらい背が高い。ふわふわの髪に,真っ黒なドレス。

体からは,濃い闇がでている。

そして,さらにその横には…

「あれ?三里!」

制服に三つ編みカチューシャが特徴的な女の子。同じクラスの真広三里だ。

その目は空っぽなのに, 口元はびっくりするほど笑っている。

「こんにちは。相棒さん?私が誰だか,もうお分かりよね?」

………。誰?

「いやいやいやっ!誰ですかあなた!」

その言葉に女の人はポカンとした表情になって,黄花はしまった!っていう顔になる。

「あら?何にも聞いていないの?仕方ないわねぇ」

そういうと,女の人にどこからか,スポットライトが当たった。

「私は美奈!世界でイッチバン美しい悪魔よ!……もしかして黄花。あなたあのことも話してないんじゃないの?」

その言葉に黄花はどんどん青ざめていく。

「ダメ!その話はっ!」

すると,美奈さんはにんまりと笑った。

「あらぁ黄花。お姉ちゃんに頼み事をする時,なんていうんだっけ?」

挑発するように笑って見せる美奈さんに,黄花はきっと睨んだ。

あれ?お姉ちゃん?どういうことだ?混乱しているうちに,黄花は覚悟を決めたような瞳で僕を見た。

「こうなったら…はぁっ!」

黄花が叫んだと同時に,あたり一面光に包まれて,何も見えなくなった…

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