ラッキーストーンで幸せを‼︎
Veroki-Kika
第1章 ラッキーストーン!
1−1 自然の異変
タッタッタッタ。
僕・
もうすっかり暑くなった,7月26日。
僕の髪にも,じんわり汗が垂れてくる。
サァッ
こんなふうに,時々吹くひんやりとした風が気持ちいい。
その風で,白いロゴ入りTシャツの上に羽織っている赤いカーディガンがふわりと揺れた。
この町で1番広い畑の横を通り過ぎようとした時,
「おーい!ヒカリくーん。元気だねー!」
畑仕事中のおじさんが僕に声をかけてくれた。
小さい頃からずっと仲良しなおじさん。今はもう,85歳だっけ?そんなおじさんのお野菜は,とっても美味しい。ピーマンが苦手な僕でも食べられる。あんまり苦くなくて,むしろほんのり甘いんだ!
あっそろそろ,夏野菜の時期か…
いつもお裾分けをくれるんだよね。
「おはようございまーす!おじさーん!」
そう言って僕は走った。
走る。走る。とにかく走る。
土手を走り抜けて,住宅街も走り抜けて。
もうすぐ,着きそうだ。目的地に。
「ちぃさなーかけらー ほーしがきらきら ほしのしょうがっこー」
星野小学校の校舎から,1年生が歌っている校歌が聞こえる。
1年生らしい,幼くて可愛らしい声。
今日,小学生は土曜日登校か。
もうここを卒業して1年…
小学校低学年の方が,平和だよなぁ。ルールも守るし,仲間はずれもしないし…。
この前の珍しい登校日・僕のクラスでは,なんといじめが発生しちゃったんだ。
そこからどうなったのかは,来月にならないとわからないし,その登校日,僕休んじゃったんだよね。
だからどんなものかよくわからない。
僕の通う星野中学は,通信制。
だから,タブレットを使っていつでも見られる。
登校日は,月に一回だけ。来月の登校日は,久しぶりに行こうかなぁ。
なんだかんだ言ってもう半年は行ってない。
小学6年生の頃,いじめのターゲットにされて,ここを選んだのになぁ。
「あっ!ヒカリー!」
小学校の方から,声が聞こえた。
見ると,友達の3年生Aクラス・有希ちゃんが,僕に声をかけた。
有希ちゃんは,トトトっと僕に駆け寄ってくる。
有希ちゃんのポンポンがぴょこぴょこ跳ねる。
「あっ!有希ちゃん,どうしたの?」
僕が声をかけると,有希ちゃんはニカッと笑った。
「えへへー。ヒカリを見つけたから声かけたんだー」
そいでねーと,有希ちゃんが話そうとしたとこで,小学校からはチャイムの音。。
「あ…チャイム…じゃあまたお話ししようか。もう授業始まるよ」
「はーい!じゃあまたお話ししようね!」
有希ちゃんは校舎に戻っていく。
有希ちゃんに手を振って,僕はまた走った。
ここは
山などの自然がとっても多くて,夜になったら星がよく見えるから星の町で星野町。
昔は花咲町って名前だったんだ。
あまり有名じゃないけれど,星はびっくりするほど綺麗に見えるんだよ。
まるで,宝石箱みたいに!
昔,友達の奏と
蛍もいっぱいいて。
その日は…流星群の日で,流れ星がたくさん見えたなぁ…
最近,奏と
2人とも転校しちゃったんだよね。
その時,ブワッとひんやりした風が吹いた。やっぱり,夏にこういう風は気持ちいいな。
僕は思いっきり息を吸い込んだ…
コンクリートの道路を気持ちよく走っていく。
タンっと青いスニーカーが軽快な音をたてた。
僕はスマホを開いて地図をチェックする。
目的地を合わして…
『目的地まで,あと5分です』
AIアシスタントの声に,僕はさらに走るスピードを強めた。
「あと少しだ」
そう呟いた時には,スマホの画面はあと2分をさしていた。
土曜日の朝は,人が少ない。だから人目も気にせずに思いっきり走れる。まぁ,人がいても普通に走るけど…
しばらく走ると,目の前に森が見えてくる。
スマホのアシスタント機能を切ってから,僕はその森の奥深くへためらいもなく入っていく。
そばにある草木をかき分ける。
虫もいない,静かな森の中。こういう森の中は,普通の住宅街とか,町中よりも涼しい。
それに,太陽の光がポカポカしてほんわかあったかい。
僕は木々のトンネルを抜けて,開けた場所にでた。
一際空気の綺麗なこの場所。
サラサラサラ。
綺麗で透明な水が,星光の川の下流へと流れていく。
ゴロゴロ転がっている岩を避けて歩いて,周りからみると,平っぽい岩を見つけた。
「よいしょっと」
僕は岩に登って膝をついた。
首からかけている十字架のネックレスを握りしめる。
サァッ。
冷たい風が僕に吹きつけてくる。
けど,僕はギュッと十字架を握りしめた。膝をついて,同じ姿勢のまま,目をそっと閉じた。
「………」
しばらく黙って祈りを告げる。
山に,川に,森に。この町の自然に。この町を見守ってくれている,この自然たちに
ここにきてお祈りをするのが必ず毎日やること。
夏休み中も,春休み中も,星休み中も,ずっときた。(星休みは,この地区で行われている,1年で一番星が綺麗に見える日の休みだよ。学校や幼稚園などがお休みになるんだ!9月1日〜9月20日までやってるよ)
きっと一番空気が綺麗なここに,神様がいらっしゃるはずだから。
僕はそう信じている。
お祈りが済んだあと,いつもはそれに応えるように爽やかな風が吹いておしまいだけど。
今日は何かおかしい。
木々が騒いでいる。川の水が荒れている。
でも,風も今日は弱いし,何より天気は晴天。
つまり天気のせいじゃない。
何かあったのか。
僕が周りを見渡すために立ち上がった。その時,
(気づいて)
そう誰かの…女の子の声が聞こえた気がして,僕は周りを見渡した。
周りにあるのは,おっきな岩や小さな石たち。それから綺麗な水が流れているかわ。
あまり変わっているところはないはず…
あれ?あそこに,なんか黒いものが…
僕は小さな違和感をもとに,川の近くへと歩いていって…
「あれは!」
いつもより荒れている川の近くに落ちているモノをみて,僕は目を見開いた。
それと同時に,自分の顔が青ざめていくのがわかる…
だってそこに落ちていたのは,自分が想像する中で1番最悪なものだったから…
「人っ⁉︎」
※この作品ではキャラクター案を募集中だよ!キャラクターの内容(性格や容姿)をコメントしてくれたら採用するかも!
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