生の証
真っ暗な部屋。
今は何時だろう。
真っ暗だから夜?
…違う。真っ暗なのは、カーテンを閉め切っているからだ。
部屋に
最初のころは、親や兄弟、教師などが、部屋から出てこい、学校に来い、顔を見せろ、何がしたい、など、様々な問いを投げつけてきたが、いつの間にか、それもなくなった。
他の誰も来なくなっても、ただ一人、つい最近まで来ていた奴がいたが、あれは誰だったか。
何もわからないまま、なんとなく起きて、ボーッと過ごして、いつのまにか寝ていて、またなんとなく起きる。
そんな虚無な時間を、繰り返す。
ベッドから起き上がることもなければ、声を発することも、何かを食べようと思うこともない。
だけど、自分もやはり、腐っても人間であるようで、無意識に、部屋に置いている菓子類を食べて、いつのかもわからないジュースを飲む。
何もすることがない日々で、真っ暗な部屋で、自分の腕と、ベッドシーツだけが、赤黒く染まっている。
なんとなく、近くにあった
刃を自分の腕に押し付けて、滑らせる。
ザク、という音とともに、紅い血があふれだす。
やはり、自分も人間なのだと、思う。
自分の嫌いな、アイツらと、自分の好きな、あの子と、同じ人間。
気持ち悪いような、うれしいような、複雑な感情が、鮮血と共にあふれ出してくる。
これだけが、俺が生きている証。
これこそが、俺が生きてしまっている証。
いつになったら、次に進めるのだろう。
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