第116話

《遥 side》


「遥、あれ鈴ちゃんじゃない?」



花織が言葉を放った瞬間窓の外を見た。



「ほんとだ、」



この前とは違い教室にはまだ人がたくさん残っている。その中でガタッと大きな音を立てた僕のことをクラスメイトが見ていたことは知っている。



でも、そんなことを気にしている余裕など今の僕にはない。



早く早く鈴ちゃんのところへ。高校生にもなって廊下を走っている僕のことを教師は注意する。



ごめん先生、普段ならちゃんと歩くけど今は本当に余裕がない。



靴を履き替えて彼女の元に向かう。やっぱり彼女は注目を集めていた。周りには男がたくさんいて様子を窺っている。



その光景にイラついて、彼女は僕のだと周りに分からせるように名前を呼んだ。



《遥 said end》

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