第87話

《桃寧side》


話すって決めても上手く口が回らない、そんな私の手を鈴はずっと握ってくれていた。彼女に勇気を貰ってばかりだと思う。



「中学のころだから、今から4.5年前かな、私の親友だった子の話なんだ」



あの子はとても明るくて可愛くて誰からも好かれていた。



「あの子には一つだけ周りと違うところがあったの」



"なんだと思う?"って鈴に問いかけてみる。表情を見る限り答えがわかっているんだと分かる。



「鈴の想像通り"ネット恋愛"にはまっていた、ということ。あの頃はあまり気にしてなかったの。クラスの大半の女の子がネット恋愛してたから」



それも理由の一つ。



だけど一番の理由は、"恋してるあの子が好きだった"から。



あの時止めなかった自分を今でも恨んでる。私があの子の変化に気づいていれば、止めていれば今が変わっていたのかもしれないのに。

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