第83話
君が上に行って私の手が届かなくなっても私の隣はあなただけのものだから。上にいるのが辛くなったらいつでも帰ってきていいから。私を利用してくれていいから。この先私が"相方"と呼ぶ人はいないから…!あなただけだから、だから、だから、
「私を忘れて…、」
おねがい。
1人で呟いた声は誰にも届かないまま空気となって消えた。それでいい、それでいいの。ちゃんと終わりに出来たかなぁ、私という存在がLucaの罪悪感に変わって欲しくない。Lucaが上に行く足枷にはなりたくない。
初めてした恋は呆気なく終わりを告げた。もしかしたら始まってすらいなかったのかもしれない。私の一方通行だったのかもしれない。
たけど確かにここにあったあの気持ちは本人に伝わることも出来ずに消えた。
あーあ、終わっちゃったなぁ…。うん、うん、これでいいの。最後に私にちゃんと言ってくれただけでもいい。
何も言わずに終わるんじゃなくてちゃんと言ってくれたから。それはきっと私が大切だったから言ってくれたんだ。
その夜は声を押し殺して泣いた。たくさん泣いた。そうしたら少しすっきりして前に進める気がした。明日桃ちゃんになんて言おうかな、怒るかな、泣いてくれるかな、それよりもぎゅってして欲しいな。
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