第57話

『1時間待ったんだけど…』



『ほんとごめん!意気投合しちゃって、』



『ふーん、そっか』



『今からやろ、?』



『うん、やる』



可愛くない言い方。可愛いって思われたいのに可愛くない言葉が出ちゃう。それでも意気投合した人とは終わって私の方に戻ってきてくれたから嬉しいって思ってしまう。



『ねぇ、るかくん。楽しかった?』



『ん?うん。楽しかった!』



『そっか、ならいーよ』



本当はよくない。私のそばにいて欲しかった。でもそんなこと言えないから、自分を偽って思ってもない言葉を言う。



『でも、もう遅いけど、今日はしのちゃんの誕生日だからまた今度遊べば良かったって後悔してる。ほんとにごめんね、それなのに待っててくれてありがとう』



そんなこと言われたら許すしかないじゃん。そうだよ、今日誕生日なんだよ。特別な日に君に遊んで欲しかったんだよ、分かってよ。



『いーよ、もう。だって今から遊んでくれるんでしょう?ちゃんと付き合ってよね。眠いって言っても寝させてやんないんだから!』



だから、約束したのに私を放っておいた罰をあげる。だって今日は1年に1度しかない特別な日だから。少しくらいわがままを言っても許されるでしょう?

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