第31話
『私だけ決まってない。みんなはちゃんと自分のこと考えてるのに…。私だけ置いてかれてる、やりたいことも無いし、特技もない…。私は"自分"を持ってない…!ただ親に言われた通りに進路を決める自分が嫌だ…。私だってちゃんと"自分"で決めてやりたいことをやりたい…!でもそれが無いから、私は…。時間はあるってみんなは言う。でももう無いんだよ…タイムリミットはすぐそこなんだよ…どうすればいいのか分からない…』
積もりに積もった私の不安が文字となってLucaに伝わる。自分の気持ちをさらけ出すのはその気持ちが何であれ不安なのだ。それだけでその人との関係が終わることもある。でもLucaが私にくれた言葉は、
『そっか。それは僕も同じ。僕だって進学か就職か決まってるだけ。その先なんて考えてないし、とりあえず将来に役立つかもしれないから進学しとくか程度の気持ちだよ。しのちゃん、本当にやりたいことない?好きなことは?ふとした時に"あぁ、私この瞬間が好きだな"って思うことはない?少しでもその気持ちがあるならそれがしのちゃんが"本当にやりたいこと"だと僕は思う』
これは言うつもりなかったんだけどね、しのちゃんと出会った時僕から声かけたじゃない?その時無視することも出来たのに無視せずに一緒に遊んでくれてとても嬉しかったんだ。その後も今こうして僕に悩みを打ち明けてくれることも。僕はしのちゃんと遊べることが嬉しい、それだけの事だけどしのちゃんは人を笑顔にすることが出来る。それはもう特技じゃない?
内緒話をするように自分の気持ちを教えてくれた。こんな私でもLucaは私のいい所を見つけてくれている。それだけで嬉しい。Lucaが言った最後の言葉。"笑顔にすることが出来る"その言葉を聞いて私の中にあった不安が消えた。
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