第10話

午前に家を出て2時間くらい経った頃だろうか、ちょうどお昼すぎに雨がぱらぱらと降ってきた。僕の予想は当たったようでやはり雨は降った。



雨が降ったことにより気分も下がり、早急に家に帰ることにした。雨は苦手、でも水に打たれる感覚は好き。僕の不安な気持ちも全て洗い流してくれそうな気がするから。



でもやはり"雨"と言うだけで心がもやもやするから結局は無理なのだろう。そんなことを考えながら早足に家に向かう。



鍵でドアを開けようとした瞬間、心地よいソプラノが耳に届いた。聞き間違えるわけが無い。ここ最近ずっと響いてた声。彼女の声。



どうして、なぜ、消えたんじゃないのか、様々な疑問が頭に浮かぶ。でもそれよりも彼女がまだそこにいるということを確かめたい。僕の願望が生み出したものじゃないのか、ちゃんと、この目で。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る