第8話

そして僕の手を取る。まるで



"あなたも歌えば分かるよ"



と言ってるみたいに。



僕は歌えない。だから、ぼくの手に重ねてある彼女の手をゆっくり離す。



そんな僕の行動に彼女は不思議そうな顔を向ける。



歌えないんじゃない。"歌わない"んだ。そんな意味を込めて彼女の瞳を見つめた。



悲しそうに彼女の瞳が揺れたことに僕は気づかなかった。



そして悲しく微笑んだ。



次の日から彼女は"また"僕の前からいなくなった。

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