1日目

第1話

朝起きて窓の外を見ると雨が降っていた。テレビをつけ天気予報を見る。一人暮らしの僕にとっては朝の日課だ。今日から8日間は雨だと天気予報のお姉さんがテレビの中で言っている。



雨は苦手。あの日から苦手になった。それが8日間も続くとなると何もすることがない。今は夏季休暇で大学はない。



小さい頃は毎日のように歌を歌っていた。作詞作曲もした。それを彼女と一緒に歌うのが好きだった。もう会うことはない彼女のことを思い浮かべる。



小さい時は雨も好きだった。歌も好きだった。まだ何も知らない怖いもの知らずな子どもだった。大切な人がいなくなるかもしれないそんな恐怖なんて知らなかったんだ。



目を閉じて開けてを繰り返し外の雨を見る。何回目だろうか。窓の外、ベランダにここにいるはずがない彼女が見え始めたのは。



見間違いかと思い何度も目を擦った。だけど彼女は消えない。消えるどころか僕が苦手な歌を歌いながら僕の方を見る。目が合うと一瞬驚いた顔をしたあとすぐにあの頃のような笑顔を僕に向けた。

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