第63話

「どうして分からないの、」



「なにが、?」



きっと俺を凪が睨む。だから睨んでも可愛いだけなんだよなぁ。そんなことを考えてたら唇に違和感。え、と思うけどそんなことは凪の言葉に遮られた。



「私は、律のことが好き、大好きなんだよ。隣にいて欲しいと思ったのに、隣にいたいと思ったのに私の気持ちは要らない、?」



びっくりした。凪にキスされたのもだけど、俺と同じように考えてくれてたなんて。要らないなんてことない。欲しい、必要、俺には凪が必要。隣にいて欲しい、隣にいたい。



「俺も凪の隣にいたい、これからも俺の隣にいて欲しい。だから、」



「うん、隣にいるよ。ずっといる。これから大変だと思うけど私は律の隣にいるためにがんばるよ」



その言葉に涙が出た。俺はただ凪を助けることが出来ればいいと思ってたから。隣にいて欲しいと思ったけどそれは難しいと思ったから。



凪に手を伸ばして抱きしめる。強く強く。ちょっと苦しそうにしてたけど背中に腕が回ってたからその温かさに安心した。

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