第25話

これから先のことを話そうとするけど声が出ない。手も口も身体が震えてる。律はずっと手を握ってくれている。大丈夫。



軽く深呼吸をして口を開く。



「もう察してると思うけど、襲われたの。清水さんに」



そう言った瞬間律の綺麗な顔が歪んだ。悔しそうに苦しそうに。あなたがそんな顔する必要ないのに。



「あのね、襲われたって言っても最後まではされてないの。だからそんな顔しないで、?」



「…それでも!!怖かっただろ!中学生の女の子が男に、しかも成人してる男に…最後までされてなくても怖いだろ…怖かったはずなのに…。俺の前では無理しないでよ…」



律が怒ってくれるから、私のために怒ってくれるから、ずっと溜め込んでた気持ちが溢れて涙という雫になってこぼれ落ちた。



「…っ、ふ、怖かった、怖かったの…。押さえつけられて逃げることも叶わなくて、ただただ目の前の人に怯えることしか出来なくて、それでも必死で逃げた」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る