始まり

第1話

走る。ただひたすら走る。人も家も街すら寝ている時間。必要最低限のものだけ持って目的もわからず走る。




「はぁっはぁっはぁっ」




息が乱れる。誰も追いかけて来てないのに何かに追われてるような感覚。




ただ、息が詰まるあの場所から逃げ出したかった。たったそれだけの理由。親に引かれたレールの上を歩くだけの人生。そんなの俺が俺で居られなくなる。




ただ、俺は…




「何にも囚われず自由にやりたいように生きたい」




きっとすぐこの逃避行も終わる。でもこの一瞬だけでも自由でいたい。




俺に自由なんてないのに願わずにはいられない。

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