僕の髪はドライヤーを遥かに凌駕した

@yurayurajima

第1話

僕の髪はドライヤーを遥かに凌駕した。

それは突然起きた。

僕は当時ニキビと寝癖が酷く(嘘 本当は現在進行形)髪と肌が接しているとお肌に悪いと聞いたのでニキビが増えるかも!と思い髪をかきあげて寝てみたんだ。その時僕はドライヤーをセットにして髪にかけるとすぐに寝癖が治ることを知ってしまっていてね、どうせ髪をかきあげても次の日にはドライヤーでセットできるだろうと思ってついつい魔が差してしまったんだ。それが悲劇の始まりとも知らずに。

いつものように遅刻ギリギリの時間に起きいつものようにご飯を食べていつものように洗顔しようとした時の事だった。鏡の前に映っていたのだ。髪にへばりついた黒いコッペパンのようなものを。まだそれだけなら良かったんだ。僕は急いでドライヤーをセット状態にし髪にかけた。

この黒いコッペパンをクシャクシャにしながら。でもね、無理だったんだよ。コッペパンをほどくのは。コッペパンは一つ一つ精密に、まるでもう遊びはお終いと親に言われた子供たちが必死にまだ遊ぶんだ!と抵抗して手を繋いでいるかのように。もう離れないぞという強い意志、不思議な団結力を僕にこれでもかと見せつけてきたんだ。

そして僕の抵抗は儚く散った。(遅刻ギリギリだったため髪に時間をかけられなかった)

かっこいいコッペパン(リーゼント)が出来たよ。

あの日の学校は忘れない……。

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