君は今日もふわりと笑う
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電話するようになって、随分親しくなったけれど、俺らの関係は変わらない。
そして、俺の気持ちも変わらない。
いや、むしろ深まるばかり。
だけど、今日もまた初めて会ったときと変わらず、ふわりと笑う君は、俺のそんな気持ちなんて気づいていないだろう。
だから、その想いはまだ隠しておく。
今はまだこのままでいたいから。
「美波ちゃーん」
「もう『七瀬先生』って呼びなさいって言ってるでしょ」
俺がふざけてそう呼べば、相変わらず訂正する美波。
一回も『七瀬先生』だなんて呼んだことないのに。
それに、
「だって美波、先生じゃないじゃん。学生さんだろ?」
ただでさえ、距離があるのに、‘先生’と‘生徒’なんて、交り合えない関係性なんていらない。
君も同じ‘学生さん’
「そうだけど、今は先生役なんだから。用がないなら行くからね」
そうプクっと怒って見せる彼女は、やっぱり6歳も上には見えなくて、
なのに、
「嘘嘘、ここわかんなーい」
「ん?どこ?んーと、それはね――」
さっと耳に髪をかける横顔は、色っぽくて、そのギャップにドキドキしてるなんて、きっと君は知らないだろう。
俺の想いは募るばかり。
だけど、
タイムリミットは、もうすぐそこまで近づいている――
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