君は今日もふわりと笑う

P.42

電話するようになって、随分親しくなったけれど、俺らの関係は変わらない。



そして、俺の気持ちも変わらない。


いや、むしろ深まるばかり。



だけど、今日もまた初めて会ったときと変わらず、ふわりと笑う君は、俺のそんな気持ちなんて気づいていないだろう。



だから、その想いはまだ隠しておく。



今はまだこのままでいたいから。




「美波ちゃーん」


「もう『七瀬先生』って呼びなさいって言ってるでしょ」



俺がふざけてそう呼べば、相変わらず訂正する美波。


一回も『七瀬先生』だなんて呼んだことないのに。



それに、


「だって美波、先生じゃないじゃん。学生さんだろ?」



ただでさえ、距離があるのに、‘先生’と‘生徒’なんて、交り合えない関係性なんていらない。


君も同じ‘学生さん’



「そうだけど、今は先生役なんだから。用がないなら行くからね」



そうプクっと怒って見せる彼女は、やっぱり6歳も上には見えなくて、



なのに、


「嘘嘘、ここわかんなーい」


「ん?どこ?んーと、それはね――」



さっと耳に髪をかける横顔は、色っぽくて、そのギャップにドキドキしてるなんて、きっと君は知らないだろう。



俺の想いは募るばかり。




だけど、


タイムリミットは、もうすぐそこまで近づいている――

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