僕の好きな人

P.32

なんだよ、『価値観』って。

『価値観が違う』って、価値観なんてみんな違うんじゃねーの？

中学生だろうが大学生だがろうが、価値観なんて人それぞれだろ。

‘年頃'だとか‘年上'だからなんて陳腐な理由じゃない。

だけど、俺がやってることは、美波には迷惑なのか？

この気持ちは、美波にとっては迷惑？

あの時、あー言ったのも、俺に対する態度も、美波の優しさ？

俺が『中学生だから？』と言った時、『違う』と言ったのも、美波の優しさ？

‘中学生に手ぇ出したら犯罪’

本当にそう思ってるの？

俺の前を颯爽と走りぬけて行った美波を乗せた黒いワゴンは、いつもの白のコンパクトカーと違ってかっこよくて、中学生と大学生の差を見せつけられたみたいで、悔しかった。

どうしようもない事実。

変えることのできないもの。

でも、

『中学生に手ぇ出したら犯罪』だと君も言っていたけれど、

俺が美波を好きで、美波も好きになってくれたなら、それは恋愛。

それに、手を出すのはむしろ俺の方。　

中学生が大学生に手を出すなら問題ないだろ？

でも、やっぱり俺は‘恋愛’がいい。

俺が好きで、美波も好き。

それなら問題ないだろ？

俺の願いが叶うなら。

俺の想いが届くことがあるならば。