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「つき合ってみないとわかんないこともたくさんあると思う。でも、それ以前に、知らないことが多すぎるよ」
黙ったままの俺に、美波は落ち着き払ってうっすらと笑みを浮かべながら、でもまっすぐ目を見てそう言った。
美波の言ってることにも一理ある。
出会ってから1ヶ月以上は経っているけれど、会った回数は手を使って十分数えられるほど。
むしろ余るくらいだ。
時間にしたって、微々たるもの。
だけど、そんなの仕方ないじゃんか。
どんなに会いたいと思ったって、そう会えないのだから。
遠距離でもないのに会えない。
それが俺と美波との距離。
「だから、これからも仲良くしてね」
そう言ってふわりと笑う美波。
Noと言わず、そう言ったのは、チャンスはまだあるということなのか、
それとも大人な彼女の大人な対応なのだろうか。
わからない。
やっぱりまだガキの俺には、大人の世界なんてわからなくて、都合のいいところだけ信じてしまう。
いや、信じるしかなかった。
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