1時間目

それが始まり

P.1

中三の10月――



もうすぐ高校受験を控えた俺らのために、今週から土曜日に補講授業が始まる、らしい。



まったく迷惑な話だ。


担任の話を聞き流しながら、俺はあくびをひとつ。



塾がある人もいるからと、希望者のみ行うらしい。



「だったら俺には関係ないや」とまたまたあくびをしたところで、


「瀬野、お前は絶対に来いよ」


と、担任に名指しされた。



俺の名前は、瀬野咲也(セノサクヤ)。



このクラスに‘瀬野’は一人しかいない。



つまりは、俺のことを指しているわけで、


「はっ?なんでだよ?!」


当然、反論する俺。



なんでわざわざ土曜日に学校なんて来なくちゃなんねーんだよ。



「お前は出席日数も成績も足りてない。よって、強制的に補講だ」


「チッ、まじかよ…」



所謂‘不良’と呼ばれる部類に入る俺は、真面目に授業を受けるわけもなく、成績はもちろん、出席日数まで足りていないらしい。



「ギャハハ、どんまい、咲也~」


バカ笑いするダチの声がする。うざい。



「そういうお前らも補講だぞー」


「まじかよ~」



担任の言葉に、がっくりと項垂れるやつら。


当たり前だ。俺と一緒にサボってたんだから。



というわけで、俺を含むサボり組数名が強制補講となった。

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