四.夢見心地

帰宅。夕食を摂取し、軽く筋トレをして入浴。歯磨き後、すぐに自室に籠る。小袋を机の上に出す。相も変わらず鈍い黄色の光を放っている。

「お前が本当に魔法使いなのか、試してやる。感謝しろ。」

ポッケに突っ込む。寝る時間になるまで授業の予習復習を行う。が、集中できない。苛つく。今日は色々あったから、今からもあるし、な。これから寝るというのに、どこか緊張している自分がいる。今日は早めに切り上げよう。最低限のところで勉強を切り上げ、部屋の明かりを消し、ベッドに腰掛ける。スマホを手に取ってSNSを開く。フレンド欄に辻村の名前がある。苗字だけで、下の名前は分からない。そういや聞き忘れたな。働くのを決めたら、聞いてみるかな。数分間弄り倒した後、スマホを充電器に挿して置いて寝転ぶ。ポッケを摩る。とてもダイヤの触感までは分からないが、確かにそこにある。

電気を消し、寝転ぶ。不思議なことだ。最近の俺はおかしい。今までの俺は、自分の世界に引き篭もるばかりだった。他人のことなんて考えても仕方が無いと思っていたから。それが今はどうだ。他人に興味を抱くばかりか、ずっと抱えてきた秘密を打ち明け、家に上がり込んで、挙げ句の果てには魔法まで信じてやろうとしている。笑える。あの性悪女に出会ってからというもの、心乱されることばかりだ。全く、辻村某、め。

そう考えているうちに、うとうとしてきた。疲れが溜まっていたのか、眠気が来るのが早い。抗うことなく、そのまま受け入れる。静寂、心地良い脱力感、呼吸が、深くなっていく。やがて、瞼が開かなくなる。

ふぅ、はぁ、ふぅー

最後に、息を少し強く吐く。じゃあ、魔法のダイヤとやら、よろ、しく。


淡い光が閉じた目に滲む。何だ、まだ眠いんだ。無視して寝ようとしたが、段々強くなる光に耐え切れず、嫌々瞼を開ける。ぱちくりさせる。二度、三度。目だけ動かして辺りを見渡す。もう一回目を閉じてから、開く。暗い、けど、天井が、周りが、おかしい。見たことも無いものに囲まれている。どこだここ。what?where?勢い良く身体を起こす。目を擦る。頭を叩く。幻覚じゃ、ないみたい。結論、俺の部屋ではない、どこか別の空間で寝かされていた。

ゑ、どういうこと?誘拐された?俺?混乱しつつ、辺りをぐるぐる見渡す。やっぱ薄暗っ。分かるのは、そもそもベッドが違う。ふわふわ過ぎる。それに、キング?クイーン?とにかくサイズが大きい。プラス、お姫様みたいに、天幕やカーテンが付いている。何じゃこりゃ。ベッドの傍にはぼんやり暖色に光るスタンドが立っている。さっきの光はこれか。明かりはこれしかないようで、ベッド周りが薄く見えるだけだ。その傍にはお洒落な丸テーブルがあり、何か、ティーポット?擦ったら魔人が出てきそうなランプらしきものがある。床には毳毳しいラグ?カーペット?が敷かれている。以上、家具はこのくらいしかない。そのくせ部屋は広く、ドアまでが遠い。それに、だ。

すんすん

けほっ

何か甘ったるい薫りがする。アロマとか、芳香剤は何も無いようだが、その薫りが充満している。とにかくおかしい。立ち上がって色々調べたいが、妙に身体がだるい。頭がぼーっとする。ベッドから離れようという気が起きない。身体に力を入れようとするが、すっと抜けてしまう。ダメだ。ぼすん、と再びベッドに身体を預ける。寝心地の良いベッドだ。もう何も考えたくない。現状を理解しようとしたくない。あれ、何でだっけ、何か忘れてるような、気もするけど、何だっけ、思い出せない。

カチッ

びっっっくぅ

?!びっくり、跳ね起きた。何の音?狼狽していると、

キィィ

ドアノブが回された。ドアがゆっくりと開く。誰か、来るのか。ドアをしっかりと見据える。拳に力が入る。入ってきた。目を細める。が、暗くてよく見えない。

バタン

ドアが閉まった。誰かがいるのは分かる。が、姿はまだはっきりと見えない。鼻がひくつく。甘い薫りが一層強くなっている。警戒心を強めると共に、どこか胸の奥が撫でられるような、もどかしい思いも感じる。なぜだ。

ヒタ、ヒタ

一歩ずつ、噛みしめるように、こちらに近づいてくる。段々と、足元から光を浴び、その姿が露わになっていく。息を呑み、瞬きを忘れて目を凝らす。裸足だ。それにズボンは、履いてない。履いてない?!さらに近づいてくる。もうここで察しがついた、女性だ。脚のラインがもう女性のそれだ。それに、パ、パンツが、見える。黒の、エッティやつ。心に着火。それにはっきりしたとおへそ、くびれ、そそして、黒のブラジャーと、谷間がこんにちはしてる。でっっっか。バストの豊かさに思わず心の声が漏れる。ありがとうございますm(_ _)m

カップはF、G?分かんない。俺男だから分かんない。いやいや、いけませんいけません!こんなはしたない!もっと段階を踏んでお互いを知らないと!理性を働かせるものの、全身に火がついてしまった。燃えるように熱い。んで、結局見ちゃう。泣ける。腹や腕、首もスラッとしていて、スタイルが良い。そしてとうとう、顔が明かりの下に晒される。

「ああ、ん??」

目を疑う。両手で顔を覆って全力で目を擦る。もう一度顔を上げ、目線を合わせる。いや、でも、何で何で、何で、ゑ?信じ、られない、とても。

肩までかかる黒髪、前髪は綺麗に揃っている。ややつり目で、丸くて大きな瞳。青みがかった黒のグラデーションが映える虹彩。黒目もはっきりしている。そんな吸い込まれてしまいそうな目と顔立ちは猫を連想させる。

「つ、つじむらぁ?」

違う。自分で言っといて何だが、違う。顔はそっくりだが、目の前の女性は明らかに年上だ。二十代だと思う。身長も百六十くらいありそうだし、肉付きや肌の感じも違う。何かむっちりしている。エ、エッティ。最たるはバストが、もう、こっちはばるんばるんなんだもの。辻村はこんなに大きくない。でも結局、そしたら、この人誰なの?魅惑の全身を露わにした彼女は、もう俺の目の前まで来ている。それで、何、この状況?!辻村のそっくりさん、お姉さんか誰か、が下着いっちょで迫って来てるって!黒のレースのやつ!エッティ過ぎるって、直視できないって!でも目は離せないんだが、いや俺が変態などではなくむしろ向こうが痴女というか、とにっかく、俺はどうなるのぉ?!内心もうお祭り騒ぎだが、なぜか一向に身体に力は入らない。彼女が近づくのを拒めない。それと自意識とは裏腹に、全身の血液が沸騰している。特に、下腹部がもう、マグマ溜まり。いつ噴火してもおかしくない。

「待って待って、一回止まって!」

なんとか静止を促す。が、無視。すとん、と俺の隣に腰掛ける。すっと自然に俺の頬に白い手が伸び、

ぐいっ

強引に顔を寄せられる。

ずいっ

と彼女の顔が視界いっぱいに広がる。顔を引こうとしたが、引けない。近くで見ると、ますます辻村そのものだ。少し歳を取ったらこうなるのか、と想像できるほど。まつ毛が長く、うっすら化粧もしてる?唇は、リップが塗ってあるのか、濃いピンク色だ。彼女の両の手が俺の頬に添えられる。顔が痛いほど熱くなっている。心臓が破裂しそうなほど脈打つ。一旦顔を背けたいが、できない。拒む力が入らない。もう鼻と鼻が接してる。息が顔にかかる。甘い薫りが脳に届く。彼女の目がとろんと蕩ける。口元が歪む。わ、笑ってる?何で何で?あっ、

くちゅ

もう遅かった。次の瞬間には、唇が覆われてた。柔らかい。少し濡れてる。気持ち良い、何か安心する。唇伝いに互いの鼓動が共鳴し、人間の温もり、というものまで感じ取れる。もちろん、俺のファーストキッスだ。今までキッスというものは漫画やアニメでしか見たことがない幻の行為だったが、今実感できた。甘くて、優しいんだな。まだ唇は重なったままだが、だんだん落ち着いてきた。最初こそびっくりしたが、そりゃもう本当にびっっっくりしたが、なんか、こんな落ち着くものだって、知らなかったな。誰だか存じ上げませんが、教えてくれてありがとうございます。やがて、重なったままの唇が、ゆっくりと開かれていく?口が、開いてるけど?

うむっ、?!ああぅ、あぅ、あぶっ、えふっ!べっべっ、んん、っぷ、な、んな、んなんななな、何これぇぇぇぇ?!ベロが、舌が、ゼツが、俺っ、のっ、中に、入って、入って?きてる??きているのか?!うぷっ、あ、う、ちょっと、ダメって、あ、ああぅ、ああうう、う、あううううううううんんん♡

意識が持っていかれそうになる。口の中が、丸ごと喰べられてる、みたい。彼女の舌が、何か生き物みたいにくねくねして暴れ回る。唾液が渦を巻くように混ざり合う。ぬるぬるの、べとべと。口の裾から止めどなく漏れ出ているが、彼女は構わず舐る、舐る。たまに舌を吸われたりも、する。何だろう、最初からこうなんだっけ。口って、舌って、誰かとくっついてるのが普通なんだっけ。そんな気がする。じゃなきゃ、おかしいもん、これ。

ぷはっ

口が離れた。唾液が糸を引いている。顔が、火照る。息も絶え絶えで、酸素が足りない。汗も噴き出てくる。全身に力が入らず、へたり込む。あまりにも初体験。脳ががんがん音を立てて揺れる。ただ、気持ち良い、気持ち良い。このことだけは分かる。もっかい、もっかいしてほしい。そう思っていると、急に両の腕を掴まれた。上に持ち上げられて、万歳させられる。シャツが捲り上げられていく。これから行われようとすることに察しがついた。ああそうですか。事情は分かりませんが、もう何でも良い。だから、もっとしてください、ね。脱ぎやすいように、自分から頭を下げる。そのままスポンと脱げる。上裸になった。恥ずかしさもあるが、それよりも、早くしてほしい。ほしいよぉ。ねだる様な視線を彼女に向ける。彼女は、どんな顔をしている?目が霞んで良く見えない。すると、強い力で肩を押されて、ベッドに倒れ込んだ。彼女が覆い被さってくる。顔が見える。淡い光に照らされて、彼女の目は鈍い黄色が潤んでいる。頬も紅潮し、汗ばんでいる。ああ、エッティ、それで、それでいて、

「綺麗だ。」

呟きが漏れる。と同時に、再び唇が覆われる。舌が、絡みつく。今度はさっきよりも、意識がはっきりしている。彼女の舌はやはり俺の舌を、口内を、嬲るようにじっくりと撫で回す。脳が蕩ける気持ち良さ。だけど、俺も真似して応じる、応じたい。覆い被さる彼女の頭に手を回して固定し、力を振り絞って舌を動かす。思わぬ反撃だったのか、彼女の頭がピクッと跳ねた。が、一層激しさを増して襲いかかってきた。蜜が両の口から溢れ出る。彼女の舌触りが分かる。すべすべもあれば、ざらざらもある。その触感の違いも味わいながら、何とか彼女についていこうとする。まるで二匹の青龍が絡み合うように昇華していく。

ぷは

さっきよりも短時間で離れた。が、さっきよりも激しかった。お互いの口からだばっと唾液が流れ落ちる。彼女も肩で息をしている。気持ちが良い、良過ぎる。目がちかちかする。ずっと、ずっとしていたい。でも気力を尽くして頑張ったからか、頭が持ち上がらないほど、疲れた。そうこうしているうちに、彼女がもぞもぞと下に動き出した。な、何をするつもり?ゑ、あ、まさか、

また遅かった。ガッとズボンを引っ張られる。一瞬で俺のトランクスが露わになる。いやぁん。さすがに、恥ずかしい、って。パンツもそうだけど、毛の処理が、あんましできてないからぁ。そんな嘆きも無視して、ズボンを足首まで捲られて、スポンと脱がされた。あーれー。てか、ペース速くないかっか?本番までって、え、嘘、嘘嘘。察しはついていたんだけど、だって、そんなの心の準備とか、初めては好き同士とか色々の過程が、色々あるじゃんねぇ?それらが一切合切いっさいがっさいまだなんだけど、いやそう言えばキッスもそうだったんだけど。などと俺が逡巡しているうちに、彼女の顔が、俺の陰部にあてがわれた。

うっ、うあ?あ?!んん、おおおっおおおおあああああんんっ?!♡

パンツ越しに吐息がかかる。そして、彼女の指が、俺のアレをなぞる。愛しそうに、ゆっくりと。ただそれだけなのに、もう、はち切れんばかりに怒張している。生殺し、だ。ひどい。だがしかし、漢として、こんなところで暴発させるわけには、いかない。

ふしゅっふしゅっ

荒く細かく息を吐き続け、思考を巡らせ、何とか頭の方に血を集めようとする。そんな必死の抵抗まもなく、下腹部に違和感を覚えた。さらさらとした髪、しっとりとした肌の感触に加え、小さな硬いものがパンツと腹の間に差し込まれてる。気付いて、ぞっとした。パ、パパ(father?)、パンツのゴム紐を噛んでりゅ、噛んでる?!目前の光景を理解できぬまま、彼女の頭がもぞもぞ動く。同時に、パンツが引き下げられていく。引き下げられていくぅ?!ゑ、いや、そんな、そんなことをしていただかなくても、あふぅ、自分でやりますのに、あうっ、しかもそんなやり口でって、ああぅふぅん。口だけでパンツを脱がされた。初体験にしてはあまりにも異常過ぎる過程にも関わらず、俺のアレは過去最大級の建立を見せている。恥ずかしい、みっともない。死にてぇ…で、で、で、それを、どうすんの?どーすんの?!ちょっと、あっ、ふぅ、ああぅ?あぅあっあっあぅ、あがっ、くっ?!ふっ♡

指が撫でる。今度は、直に。血管を、頭の先を、その裏を、皮の隙間を、五の指が切なくなぞり、掌の圧力で包みこまれる。白目剥きそう。すごい、すごいけど、それがゆえに保たない、もう。弾倉が詰まりに詰まってる。それどころか現在進行形で、猛スピードで弾が生産されて、無茶苦茶に装填されてる。なんとか発射口を絞って押え込んでるが、暴発する、もう。ほぼ確定。我慢の限界過ぎて、全身どこもかしこも破裂しそう。死ぬの?死んじゃうの?でも、こんな死なら、良いかも、なぁ。ふと意識を取り戻すと、手の動きが止まっていた。あ、終わり?休憩?彼女の頭が沈む。ゑ、ちょいちょい、まじ?もしかして、あれ?あっと、本当に、そんな、

ぷちゅ

びーーーーー

アレが溶けて無くなっちゃった。ガチで。と同時に、意識が飛んだ。


バチバチッ

「かあっ?!」

電流が脳に流れた衝撃で目を覚ました。ど、どう?!何が、あっふぅ、どうなってる?ア、アレは?!目を向ける。良かった、まだ付いてるみたい、だ、けど、あぎっ、あっ?!♡ふぇっ、はぁっ??♡あ、ちょうちょうちょっ、あぅ♡あ、はひぃ、ふぅはぁ、ふぅっ♡♡♡

到底信じ難い光景。彼女が、俺のあの、その、アレを、食べちゃってる。口に入れちゃってるっ?!食べられないのに、どうしてぇ?!はぁ、それで、あの、熱い。口に入ってるところが燃えてると思う!ひぐっ、うぅっ、熱い蜜の中でどろどろになって、舌、またあの舌でじっくりとかき混ぜられてる、感じがする。そんで、なんかくすぐっ、くすぐった、い?感じがするぅ?分からぁん!なんとも言えぇん!新感覚!そして、さっき口吻した唇、感触をしっかり覚えている、が、今は、俺のアレを挟み込んでいる。柔らかな頬を窄め、吸い付くように覆い込む。はしたなく頬張るその顔立ちは、さっきとのギャップをすごくすごく感じさせる。そして、想像を殺されるほどの、快感。思わず脚をジタバタさせたくなるが、なぜか両腕でがっちりとホールドされている。プロ?プロの方ですか?あっ、へぁっ、ふぅぅ♡そのせいで、快感から逃げられない。脊髄から脳まで、一直線でひっきりなしに殴り込んでくる。殴られ、殴られ続けて、ちゃぽちゃぽしだした。脳も溶けちゃってる。助けてぇ、ああっ♡脳が溶けていく中、ようやく気付いた。弾倉が空になってる!いや正確には、絶賛装填中だが、一回まとめて発射されてる!いつ、いついついつ?!知らない知らない!あ、もしやあれか?意識飛んだ時、あぐっ、はぁん♡びーってなった、あれかぁ?!溶け始めてきた網膜を張り直して、もう一度目を向ける。よく見ると、彼女の口の隙間から、何か垂れてた。多分、残骸だ。

ごめんなさああああああい、ごめんなさあああい!すみませんでしたぁ!そのまま発射してしまってぇ!限界だったんですぅぅぅ!あぐぅ♡謝罪も虚しく、着々と発射準備が進められ、さぁ二発目行くぞ、いやちょっと待ってくれ、いや大丈夫だろ、さすがにまずいって。押し問答が展開される。その最中、

きゅぽん

解放された衝撃で、びくっと腰が跳ねた。あ、危なかった。あと僅かだった。顔を持ち上げてみると、アレは先端までちゃんと生えてる。良かった、安否が確認できて。寒暖差でだいぶ涼しさを感じる。風情があるね。いやはや。

それはともかく、終わった、のか…目頭の横を何かが流れる。熱い。あ、俺、泣いてる?気付かなかった。何の涙だろう。絶頂?感動?情けなさ?何なんだろうな、俺の存在そのものが。彼女はどうなったんだろう。目線をあげる。ちょっと咳き込みながら、しきりに口を拭っている。ヱ、エッティ。それに破廉恥なボディがテカって見える。同時に、改めて謝罪の意が込み上げる。誠に申し訳無い。ふとすると、ありえないくらいシーツがぐしょぐしょになっていた。俺を型どるように濡れている。冷たい。これ俺の汗?まじか。サウナ後かってくらい汗びっしょびしょにかいてたみたい。だから頭もふらつくのか、脱水、かも。口の中が癒着してる。もごもごさせて引っ剥がす。飲み物無いかな、一旦、一旦ね?そう言えば、あのティーポット?ランプ?があった。あれに水とか入ってないかな。あれ、無い。無かったっけ?辺りを見やる。あった。彼女が飲んでた。やっぱ飲み物だったんだ。注ぎ口から直接、喉を鳴らして水分を運んでいる。一部は口内に収まりきらず、唇から顎、首を伝って鎖骨、む、胸、谷間を流れ、ブラに吸い込まれていく。そ、それもエッティすぎる。いちいちわくわくさせるの、やめてくれんかなぁ、もぉ。とりあえず、俺もそれ飲みたいなぁ。じっとランプを見つめていると、その視線に気がついたのか、目が合った。すると、彼女がランプを勢い良く傾ける。え、全部飲み切る気です?意地悪?かと思ったら、ランプをテーブルに戻して、こっちを向いた。上に跨り、ずいと顔を近づけてくる。両手が伸びてきて、頭をホールドされる。結構力結構強いんですよね、あなた。あ、これ、あれだ、分かった!察した!ほっぺた膨らんでるし!う、うむ、さぁ来い!

ぺちゃ

予想通り。口がくっついて、水分が流れてくる。うっすら口を開けてスタンバイしといて良かった。その隙間から水分補給できる…ということもなく、めっちゃ零れてる。だっばだばに零れちゃってる。ちょびっとしか飲めなかった。これ水なのかな?味はもはや分かんない。てか9割唾液じゃね?舌しか入ってきてないって、んもぅ、お馬鹿さんなのなかな?またちゅっちゅちろちろする。3回目になって慣れてきた。相手の隙を狙って、逆に舌の動きをコントロールしてみる。う、うん、なかなか、上手くいかないな。んんっ、でも気持ち良いからええか、何でも。んむっ♡

ふぅ、はぁ、んぷっ

離れる。落ち着く。水分は、多少はマシになった。でももうちょい欲しい。自分で飲もうかな、残ってるかな。んしょんしょと身体をくねらせ、腕を伸ばそうとする。が、急停止。なぜなら、目の前の彼女が、背中に手を回してかちゃかちゃしだしたから。血の気が引く。ゑ、とうとう外す気ですか?それ、を?!いや見たいという志はあります。けど、見えちゃいますわよ?!あの、その、突起が!俺にもあるやつ!

するり

目の前を黒が通過した。塞がれる視界。次に開けた時、

どたっぷん

でっっっか。今まで黒の装甲で覆われてた球体が、重力を受けて露わになっちゃっちゃった。すんごい。俺も筋トレしていて胸筋が育ってきてるが、その五十倍くらい、でかい。思ったより丸くなく、外側に向けてやや楕円を描くように実っている。それに、その、突起も見えちゃってる。程よく茶が混ざったピンク色、太く長い先端。お、俺のはこんなしっかりしてない。た、逞しいですね?!あまりにも美しく淫らな造形美に、もう全く目が離せない。俺の息も荒くなるというもの。でも、エッティというより、感動してる。女性の身体というものが、実際はこうも美しかったのかと判明する度に、脳内データベースが再構築されていく。その喜びに打ちひしがれている。

ぱさ

?何?物思いに耽っているうちに何か起こったの?視界を再認識する。あ、彼女の下腹部の黒が無い。無いっ?!何だとぉ?!よく見えないが、先程まで腰にかかってた細い黒紐と、秘部を隠していた黒布が取り払われている。その代わりに、微かに茂った、黒の叢が目に入る。あ、ああ、そうなんだあ、そんな感じで生えてるんだあ、ということも分かった。ちょっとこう、何だろう、クる、な。女性の、その、生えようというものは。その奥にある蜜壺の存在を想像させられて、こう、興奮してしまう。心臓が、痛え。過去一番に心臓が躍動する。ほんっとに、やってみないと分かんないことだらけなんだな、この世界は。彼女が跨る。時間をかけて刷り上がってきて、ちょうど互いの秘部が接するところで動きを止める。焦らされる、焦らされる。豊かな二つの膨らみが、目の前で振り子のように揺れ動く。可哀想。いそいそと両手を伸ばし、動きを止めるように支えてあげる。

ずっしり

意外と重い。それにしっとり柔らか。水がパンパンに詰まった厚手のゴムボールみたい。俺の胸筋より遥かに触り心地◎。そして、指と指の間に感じる突起。ゴムボールとは対照的に、ざらついた感触と硬い感触。面白過ぎる。感触の違いを楽しんでいると、ハッとした。勝手に触っちゃって良かったのか?!同意無しだったら怒られない?!今更恐る恐る彼女の顔を見上げると、ニヤついてる感じだった。あ、問題無いですか、それならようござんした。それなら遠慮無く続けさせていただく。

もみもみ

秘部の接点では、どちらとも言えないものの体液が潤滑油となり、アレ越しに感触がダイレクトに伝わる。はっ、はぁ。そう、案外緻密で複雑な感触なんだね、ああっ、ううっ、なんだねぇ!そこはぁ♡

彼女の腰が浮く。俺のアレを掴み、ぐっ、秘部にあてがう。おっ、来るの?来ちゃうの?ゑ、その、ゴム、ゴムは?!例えあなたが問題無いとしてもですね、その、妊娠、病気、その他諸々のリスクがありますので、そういう意味でも、ちょっと再考の余地を、てか、全然話聞かないなこの人。あ、それに!今気づいた!この人喋んないじゃん、一言も!なぜに?!そんな素敵なお口があるんだから話せますよね?!声帯置いてきちゃったのかなぁ。

ちゅ

あっ。先端が埋まった。ああ無理ですか、さいですか。刹那、走馬灯のように思考が流れる。ああ、そうね。やっちゃうのか、ついにね。ここまで来たか、俺も。苦節十七年余り、色んなことがあった。小学校の頃、虐められて泣いたこともあった。中学生になるとガタイが良くなって、虐めるどころか話しかけるやつも減ってきた。その頃には自分が頭良いことに気付いてた。成績が良くて鼻歌混じりに帰ったこともあった。でも自分にも上限があることを悟って、そこから自分の存在意義を考え出した。でも、どうしようもなかった。このまま一人で潰れていくかと思ってた。お父さんお母さんごめんなさい、今俺は、ちょっと大人になろうとしてます。誰か分からん人と一緒に。よくよく考えればやばい状況だけど、もう良いと思ってる。俺のことは、俺が決める。彼女がアレから指を離し、腰を落としていく。アレが異世界のゲートを潜っていくように、新感覚に襲われていく。あぅ、ぐふぅ♡決めた。状況なんてどうでも良い。今までも、今も、これからのことも、どうだって良い。破滅したって良い。今は彼女を、この人を受け入れ尽くす。精魂尽き果てるまで、やり切ってみせる。ガッと彼女の腰を掴んでみせる。指の一本一本まで血液が巡り、力が入る。指が彼女の腰にめり込んでいるが、気にしない。さあ、来やがれ。俺は俺のままだ。必ず、この人に、この世界に、抗ってみせるぞ。彼女の頬が、さらに紅潮している。妖艶な顔を一層歪ませ、一気に腰が落ちる。

ぶちゅん

♡♡♡♡♡

俺が生まれた理由。

凸と凹、完全結合。



白い光が閉じた目に沁みる。しばらく無視していたが、辛抱効かなくなり、重い瞼をやっとこさ開く。カーテンの隙間から漏れ出る朝日。見慣れた壁、天井。いつも寝ているベッド。それに学習机にクローゼットも。毎朝見る光景に戻っていた。上半身を捻って時間を確認する。いつもの起床時間より早い。再び枕に頭を埋める。頭は、どちらかと言えばすっきりしている。そして、あの行為も、鮮明に覚えている。結合した後、夜が明けるまで激しい結合合戦を繰り広げた。腰と腰をぶつけ合い、砕けるまで果てることとなった、はずだ。あまりの気持ち良さ?快楽?に脳が置いてけぼりになっていた。よく覚えている。あの人の顔も、その身体も。あれは、現実?それとも夢?思い出して下腹部に血が集まりそうになる。やめい。夢、あ、そう言えば、そうじゃん。ダイヤがあった。思い出した。なぜあの時思い出せなかったのだろう。あれは、どうなった?ポケットをまさぐる。くしゃっとした感覚。そのまま引っ張り出す。小袋、と、その中で輝くイエローダイヤモンド。ただ、気のせいか、昨夜よりも輝きが鈍くなっているような気もする。じっとダイヤを睨む。これのせい、だったのか?やっぱりあれは、夢?にしては、随分リアルだったが。これが魔法の力、何だろうか。小袋を机の上に置く。しばらく魔法について考えようとしてみる。が、思い浮かぶのはエッティ記憶ばかり。マジで悶々とする。いや仕方ないって、どうしても考えちゃうって、あんなの。どうしても反芻してしまうので、今深く考えるのは諦めた。そろそろ起きても良い時間だ。授業中にゆっくり考えて、その上で、辻村に問いただせば良いだろう。辻村、か。ちょっと大人びたあの顔を思い出す。顔直視できるかな?

ベッドから出ようとする。途端、硬直。背筋が凍る。額に冷や汗が滲む。なぜか?それは、全身で抱く違和感が答えてくれている。汗をかきまくっていた。枕がずぶ濡れ。シーツ、布団カバーがべしょべしょに濡れ放題。寝巻きもびちゃびちゃ。そして、下半身のアレを中心に、べとべとした感触がじんわり広がっている。匂い的に、アレから発射した弾痕で間違いない。パンツから染み出してズボン、シーツまで侵食していた。目前の惨劇に思わずフリーズする。

やがて、再起動。分かってはいた。目が覚めた時から何となく感じてはいた。だが、その現実から目を背けていた。ワンチャン何ともないかなって。しかし現実は残酷だ。この後始末をしないといけない。今から学校に行かないといけないのに、それに親にバレたら、どうなることか。

ふぅ

息を吐く。と同時に、ふつ、ふつと怒りとも悲しみともつかない感情が、込み上げてくる。

「これもっ、これも夢にしとけよぉぉぉぁぁぁあああ!」

夢は夢であって欲しかった。

魔法なんて嫌いだ。

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