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「け、けど、アタシらはその、宿敵で……」

「過去は過去だと言ったのお前だろう。ならば、この世では手を取り合い共存するのも悪くは無いと思わないか……?」


男は胡散臭い笑みを見せつけながら、女の腰を手で引いた。


「ちょ、おい!?」


慌てる女に構うことなく、男は素直に告げる。


「それに、今ではお前も綺麗な女になったしなぁ?」


その言葉に女は一瞬ドキリとした。しかし、相手は元魔王ゆえ、慌てて頭を切り替える。


「は、はぁ?何言ってんだよ、お前……」

「ホントの事を言っているだけだが?」

「嘘だろッ!?」


真顔で言い切る男に、コイツは正気なのだと、女は尚更頬を赤らめた。


「なぁ勇者よ。この話に乗ってみないか?」


そう手を差し出された女は困惑する。

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