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「おい」
その声に厭々ながらも振り返ると、先程女性らに囲まれていた巨悪の根源が腕を組みながら女の背後で仁王立ちしていた。
「……なんだよ」
女が顔を逸らして訊ねると、男は呆れた様に口を開いた。
「婚活パーティーはまだ終わってないぞ?」
「だからどうした」
興味無さげに呟く女に、男は溜息交じりに告げる。
「相手を探さなくて良いのか?その為に来たのだろう……」「誰のせいだと……!」
その言葉にカッとはしたものの、婚活自体に冷めきっていた女は、首を落として諦めの言葉を口にする。
「はぁ……興醒めしたからもういいわ」
女がそれだけ告げると、男は少し間を置き『そうか』と呟いた。それからドカッと女の隣に腰を下ろす。
「はっ?」
困惑しながら男を見つめる女。
「何してんだよ?婚活パーティーに戻れよ!?」
女の問い掛けに、男は涼し気な顔で足を組みながら静かに告げた。
「私もだ」
「あ?」
「別にどうでも良くなったと言っている」
「……」
互いに沈黙した後、女はそっけ無く『あっそう』と言葉を返した。
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