Accomplice

第1話

《今回はこれでいきましょう。》



《車種クラウスワーゲン IB4  年式20XX製 ワンオーナー 正規価格650万》




社内PCチャットにより彼から送られてきたメッセージ。



我が社取扱いメーカーの高級希少自動車。その中古車。当社取扱いブランドでも早々お目にかかれない。



以前高速道路で玉突き事故が起きた際、唯一破損がなかったのはこのクラウスだけだったとセレブの友人が言っていた。

  


 

《優勝者には先輩の身体がもらえるってことで。》


〈怖い言い方しないでください。私には何の得もございません。〉


《先輩が優勝したら僕の身体を好きにしていいってことで。好きでしょ?僕の身体。》


〈それは臓器を売ってもいいという意味ですか。〉




迅速なメッセージの合間にも、オートオークションサイトから単調な機械音がイヤホンに鳴り響く。



戦闘準備の心構えはいつだって緊張感を要するのに。このサイトのAIは実に事務的で無駄がない。さらにいえば、彼の前よりもずっと冷静さを見失わないでいられる。

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