子供に階段は、あっても大人にはない。

上野蒼良@作家になる

俺達はエスカレーターの中

大人の階段の〜ぼるーってCMが少し前に流行りましたね。確か、保険のCMだったと思います。(違ったかな)


あのCMでは、既に大人の方(役者の事は忘れてしまいました)が、階段を登っていたと思います。


あのCMを見た時の私は、まだ中学生かな? 当然、大人の階段なんて言われても知りませんでしたし、あの時は中学生で、上に進む事以外に選択肢がなかった。だから、受験もしたし、進学したし卒業した。


 でも、20歳を超えてから少しずつ分かってきた。階段なんてもうその先にはない。止まるも、進む自由。


ただし、エスカレーターになっていて、気づくと上まで引っ張られているんです。そのエスカレーターは、行方が分かりません。上に行っていたと思ったら、実はコンペアで同じフロアを一周していたと言うオチもあるし、自分の知らない所で知人が、エレベーターに乗り換えていたと言う事もあります。


私は、階段に戻りたいとは思いません。でも、エスカレーターが、進んでいるはずなのにいつまで経っても同じ階をウロウロしている自分が許せない。


先へ進もうにも、そこにいるエスカレーターガールのような存在が、私を邪魔する。行く手を阻むんです。皆、エスカレーターガールを突破できるのに自分だけ突破できない。


私は、自分が許せないし、その先の何にも慣れない自分が憎くてしょうがない。いっそ、エスカレーターから飛び降りてしまいたいくらいだ。


しかし、飛び降りようとすると、エスカレーターを進む者たちが、死なせまいと見下ろしてくる。見下ろして、ここまで来てから弱音を吐けと言ってくる。


生きろというのは、ギアスだと思ってる。何処かのアニメでそうだったように私にとっても生きろ、るは呪いだ。



私は、早くこの呪いから解放されたい。苦しいのだ。

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