第10話
その後はお客さんが来ることもなかったため、安斎と話しながら何枚か写真を撮る。
気付けば、もうお昼を回っていた。
「長々とありがとうございました。今日はこれで以上となります」
「こちらこそ、ありがとうございます。雑誌、出たら取り寄せて見るわね」
未来は身の回りの整理を行いながら、まだ聞いていないことがあったのを思い出した。
「あの、安斎さん。
まだ未来が学生アルバイトだった頃、安斎の他にもう1人北区から中央区へ移動するという人の取材について行ったことがあった。
文堂とは、その時のもう1人である。
この中央区への取材は、もともと北区から特別枠で中央区に店を出した2組へのインタビュー記事だ。だが、実際に連絡が着いたのは安斎のみ。
もう1組の文堂については、以前いただいた連絡先に繋がらなかった。
本来なら事前にアポを取りたかったが、連絡がつかないとなるとどうしようもない。
だけど、今後もインタビューする機会があるのならば、せめて今の連絡先だけでも知っておきたい。
「文堂さんねぇ……こっち来た1年目くらいは時おり連絡取っていたけれど、それ以降は私たちもバタバタすることがあって、それ以来疎遠ね」
安斎も今は連絡を取り合ったりはしていないと言う。
そうなると、後は実際に文堂の店がある場所へ行くしかないだろう。
住所は、中央区で店を開けた時に先輩が取材した際のを教えて貰ってきている。
「改めて、今日はありがとうございました。私、1週間ほどはこちらに居るので、もしかしたらまたお邪魔するかもしれませんが……」
「あら、そうなの。事前に連絡さえくれれば、いつでも協力するからね」
未来は改めて安斎にお礼を言い、にこやかに見送る安斎に見守られながら店を後にした。
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