第19話
「…浮気したら許さない」
「先に言うことがあるでしょ」
「…、好き」
十数年分の想いは心もとなく唇から零れた。
おそらく耳を澄まさなければ聞こえないほどの声だっただろう。それでも嬉しそうに目を細めた飛鳥は「よく出来ました」と頼りない声を拾い、あたしを抱き寄せることで気持ちに応えてくれた。
それだけで満たされた気持ちになるから不思議だ。
関係を変えても想いのカタチは変わらない。
飛鳥もそうだったらいいな、と、広い背中を求めて腕を伸ばした。
「実花」
「何?」
「もう、俺しか見ないでね」
何気なく見上げた先――…
鈍く光るピアスと、外された眼鏡の奥に本当の欲を見た気がした。
-End-
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます