「怒ってるのは本当」

「怒らせることした覚えないんだけど…」

「したよ。久本に告られてたじゃん」

「は、はぁ…？」

「俺がいるのに何で告られてんの？」

射抜くように見つめられ、感情の読めない双眸に居心地悪く息を呑む。というより、なぜ久本君からの告白が飛鳥を怒らせる理由になるのか分からなかった。

分からなくて「意味分かんないんだけど…」と疑問を投げれば、飛鳥は「ほんとに分かんない？」と、レンズの向こうにめずらしく真摯な眼差しを覗かせる。

「俺がなんで怒ったのか、本当に分かんない？」

「わ、分かんないから聞いてんでしょ…？」

「はぁー…」

「っ、ちょっと！なんでタメ息…！」

飛鳥は呆れたようにかぶりを振るう。

なんでそんなぞんざいに扱われなくちゃならないのか、深く背凭れに寄りかかった飛鳥は信じられないと言わんばかりに目を細めた。

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