第2話

雨に濡れたアスファルトは暗闇を閉じ込めていた。


滴る雨音に水面が揺れて、星一つない空が吸い込まれそうなほどの夜闇を足元に落としている。


僕はスラックスのポケットに手を沈め、今しがた握ろうとしていた鍵に躊躇いを込めた。なんで、と、玄関先で立ち尽くす僕の足はめくるめく疑問に縛られ動かない。


――…けれども。面倒くさい。そんな感情が高速で脳裏を駆けた。

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