第11話

「ううん、大丈夫。ご飯食べてきたから」




あたしはこれから出勤なのを理由に、穂波ちゃんからの親切をやんわりと断った。ダイエット中というわけではないが、いわゆるポテトチップスのようなジャンクフードはあまり好きではない。


あたしが穂波ちゃんに背を向けて着替えていると、


「そういえば小春さん、見ました?」


穂波ちゃんはお菓子で汚れた指をペロリと舐めた。




「また来てましたよ。例の客」


「例の客?」


「ほらぁ、毎日同じ時間にやってくるお客さんですよー!ちょっと背が高くて、髪がボッサボサの!」


「あぁ、プリンの?」


「そうそう。毎日プリンとサラダしか買ってかない客です!」

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