第4話

「無理だよ。引っ越しとかお金かかるもん」


「親に頼めばいいじゃん。ストーカーされてるから引っ越したいんだよねーとか言って」


「それも無理。勝手に中退して家を追い出されたんだもん。なのにストーカーされてますーなんて言ったら、心配される前に引っ叩かれちゃうよ」


「中退して1年だっけ?」


「うん、1年」




頷くと、男の舌がお返しといわんばかりに割って入ってくる。わざとリップノイズを立てるのはこの男の癖だ。




「じゃあ俺らも1年か。早ぇな」


「飽きた?」


「いや、ぜんぜん」




だってお前気持ちーし。


そう言って、男は生まれたままの体を腕に抱いた。

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