第23話

『売るのは身体だけ。』



「ちょ…、待って…っ」



『待ちません。』




手をついて、前のめりになるようにして近づけば、スプリングは鈍い軋みを響かせた。


反射的に逃げようとする肩を抱き、首筋にそっと口づける。



そのまま覆い被さるようにして押し倒せば、甘ったるい吐息を漏らす唇は苦しげに俺の名前を刻んだ。





『一週間だけでいいんです。』



「ちょ、雨音く…っ」



『ここに、置いて下さい。』




彼女がなにも考えられないように、ただ首を縦に振ることしか出来ないように。


ほてった身体に何度もキスを落とし、双葉サンの意識が果てるまで抱いてやった。



一際大きな声を響かせた際、双葉サンは俺の背中に鋭い爪痕を残して。




その裂いたような痛みに、なんとなく、リナの寂しげな表情が重なって見えた気がした。

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