プロローグ
第1話
人の一生なんて映画にすれば15分にも満たないっていうけれど。
だったら俺の一生なんて、ほんの2、3分程度でエンディングを迎えてしまうんじゃないだろうか。
目の前に迫って来ていた車に気づいたときにはもう遅く、とりあえず人ってこんなに跳ぶんだなぁって、まるで他人事のように思った。
痛みとか、衝撃とか、そんなものは全然なくて。
ただふわりと浮遊する感覚に、これからどうなっちゃうのかなぁーなんて、漠然とした疑問だけがぼんやりと過ぎった。
気づいたら俺は地面に横たわっていて、アスファルトのザラザラとした感触が記憶となって頬に残されている。
やっぱり痛いとか、辛いとか、そんなものは全然なくて。
ほどよく日焼けした身体が道路のど真ん中にごろりと転がっているだけ。
ちょっとちょっと。
あんなところに転がって、俺ってばずいぶん迷惑なんじゃないの?
そう思うも、横たわっている俺に起きる気配はサッパリみえない。
それどころか投げ出された手足はピクリとも動かなくて、顔だけがやけに真っ白で、なのに伏せられた瞳だけが酷く穏やかで。
血潮の感じない自分は、まるで眠ったまま死んでいるようだった。
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