第11話

「過去を知らないのはあたしも一緒でしょ?」


「え?」


「圭吾がどんな学生時代を送って、どんな人と付き合って、どんなふうに大人になっていったのか、あたしだって知らない」


「……、」


「あたしより6年先に生まれてるんだもん。結婚を誓った人だって他にもいるんじゃない?」


「それは俺がオジサンだってこと?」


「…ばか。あたしの方が知らない年数が長いってこと」


「冗談だよ」




そう言って、圭吾はクスクスと笑い声を上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る