探偵はハッピーエンドをあきらめない

彼岸 幽鬼

プロローグ?

 あの人は本当に罪を償わなければいけなかったのだろうか。こんな、最悪な結末になろうと。


 コーヒーの香りが漂う店内でカフェラテを一口飲んだ。これが、あの人の好きな飲み物だったのか。


「探偵辞めようかな……」


 カウンター席に座っている私をマスターがチラリと見た。


「お話し聞きましょうか?」


 白いちょび髭のマスターはいつも優しい目をしている。


「聞いてくれるのか?」


「もちろんです。常連さんですからね」


 カフェラテをもう一口飲んだ。ティーカップを持つ手の小指をピンと立たせた。


「たった、これだけのことだったんだ」

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